若者は恐れ知らず

 最後は若者です。先述した新卒者がそうですが、若者は勤務経験が浅く、現在の事業を推進するためのさまざまなシステムや評価基準、そして組織の暗黙のルールなどに染まっていません。経験を積んでいないぶん、新鮮なものの見方・考え方ができます。

 みなさんの職場に配属された新人から、「どうしてこのやり方なのですか?」とか、「なぜ、ほかの方法を試さないのですか?」「もっと効率的かつ効果的な手段があるんじゃないですか」などと言われ、ドキッとしたことはありませんか?

 一般的に、勤務日数が短ければ短いほど、人は仕事の進め方や稟議などの組織の作法にとらわれません。若ければいいということではありませんが、少なくとも若い感性は、組織にとってイノベーションを起こす触媒になりえます。肉体年齢が若い若者と、精神年齢が若い若者の両者を活かすことが大切です。

 ジョブズはどうでしょう? 初期のマイクロコンピュータ〈アップル1〉を発売したとき、ジョブズは弱冠21歳でした。アップルが1980年に株式公開をしたときですら25歳で、同年、フォーブスの長者番付に名を連ねます。その後、56歳で亡くなるまでイノベーションを起こし続けたことを考えると、精神的な若者であり続けたと言っていいでしょう。

 さて、みなさんの会社に若者、ヨソ者、バカ者はいますか?

 既存の事業で高い評価を得ている要領のいいエリート社員にイノベーションを委ねているようでは、成功は「?」のままかもしれません。