「最後のアピール」は
確実にすべって終わる

中途採用面接はプロ同士の会話であることが前提

「最後にアピールしていいですか!」

 面接の最後にこのセリフを言い出す人がいます。その心中を想像するとアピールしようと思って用意してきた内容を伝える機会がなかったり、自分のアピールポイントと思っていることが話題にならなかったりしたために、思わずこのセリフが出てくるのかもしれません。

 しかし、ダイヤモンド・オンラインの読者の多くを占める30代以上の転職において、「最後にアピール」が功を奏することはまずありません。面接の大前提として「面接官は応募者の言っていることは聞いていない」からです。

 このことは以前にも触れましたが、面接官は自分の聞きたいこと、欲しい情報しか聞いていません。ですから「最後にアピールしてもいいですか」と言われても、基本的にその話は聞いていません。正確に言うとその場で話に耳を傾けてはいても、面接後にその内容が残っていることはまずないのです。

 むしろ多くの場合、「最後にアピール」の話はすべって終わります。事前に準備してきた内容をいきなり話し出すことは、用意してきた原稿をそのまま読み上げ始めるようなものです。つまり、それまで面接でやり取りされてきた会話の文脈を分断し、いきなり関係ない話を応募者が始めることになるため、話を聞く側からすると非常に違和感があるのです。その上、そういう話の仕方をする人は幼く見えてしまうデメリットもあります。

「自己アピール」は
中途採用に必要ない

「最後にアピール」は、もしかすると新卒採用の名残りなのかもしれません。「自己アピールしてください」と言われた記憶が残っているため、中途採用の面接でもいかに自分をアピールできるかが重要だと思い込んでいるわけです。

 しかし中途採用面接では相手が知りたいことに対して的確に、すこし親切にくらいの力加減で受け答えしていくのが基本中の基本です。要するに中途採用面接はプロ同士の会話であることが前提となっており、そこでは「最後に私をアピールさせてください」といった幼稚な伝え方はそぐわないのです。