3、4年経験しただけで
「仕事をやり切った」という20代
「いまの仕事はやり切ったので、他の仕事がしたいんです」
転職動機について面接官から質問され、こう答える20代の方がいてびっくりさせられることがあります。
私は採用や人材紹介の仕事に30年近く携わってきましたが、いまだに「やり切った!」という感覚はなく、まだまだ勉強しなければいけないことがたくさんあると感じています。それなのにまだ3~4年の経験しかない人から「やり切った」と言われると、苦笑いするしかありません。それは他の面接官も同じでしょう。
この転職動機をあげる人は、いったい何をもってやり切ったと語っているのか。「どんな成果をあげたのですか」と尋ねてみると、その経験年数としては悪くない実績をあげてはいても、やり切ったというにはほど遠い水準の成果でしかでてきません。
要するに、こうした人たちが「やり切った」というのは「一通り業務を経験した」という意味で言っているのだと思いますが、言葉のチョイスが間違っています。
「やり切った」という言葉の裏には、一通り業務を経験して「飽きた」という意味合いも含まれているのだと思います。しかし、前任者がやってきたのと同じように業務をこなしている段階は、単なる「作業」に過ぎません。そこから自分なりの知恵と工夫をほどこして効率を上げたり、より少ないパワーでより大きい成果をあげたりしてはじめて「仕事」をしたのだと言えます。