大手芸能プロダクションのアミューズは、ライブビジネス拡大の波に乗って成長している。同時に海外にも積極的に進出、他社も巻き込む独特のビジネスモデルに挑戦している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

 大手芸能プロダクション、アミューズの業績が絶好調だ。2016年3月期の売上高は465億円(前年同期比18.6%増)、営業利益は56億円(同42.7%増)と過去最高を記録する見込み。10月末に通期予想を大幅に上方修正した。

 アミューズの創業は1978年。同年デビューのサザンオールスターズを手始めに、ミュージシャンや俳優など所属タレントを増やし、現在では250組超を抱える業界でも指折りの存在だ。

 サザンのほか、福山雅治、BEGIN、ポルノグラフィティなど、創業以来ミュージシャンが多く所属し、近年では女性3人組ユニットのPerfumeや、ヘビーメタルとアイドルを融合させたBABYMETALが大人気だ。

 芸能プロの仕事といえば、タレントが活躍する機会と場を提供し、サポートすること。しかしアミューズではそのようなマネジメント業務のみならず、所属タレントの楽曲や出演作品に付随するさまざまな権利をフル活用して、ライブや舞台、映画やテレビ番組、DVDの企画・制作や販売など幅広い事業を手掛けている。

 中でも好業績をけん引するのが、ライブ関連事業だ。

 全社売上高のうちライブが占める割合は、10年前は2割程度だったのに対し、今では6割超まで拡大している(下図参照)。ライブ売上高にはチケット収入のほか、協賛金や各種グッズ、またライブチケットを先行予約できるため、ファンクラブの収入も含んでいる。

 周知の通り、音楽業界ではCDが売れず、配信も伸び悩んでいる。その一方で成長しているのがライブだ。業界団体の調査によると、国内のライブ市場は10年前と比べて年間売上高は3倍に、入場者数は5倍に伸びている。こうした波に乗ることで、ミュージシャンに強いアミューズはライブ売り上げを伸ばしているのだ。

 例えば福山の場合、全国ツアーを組むと約50万人を集客する。売り上げはおよそ70億円と見られ、5年前と比べると、格段に規模が大きくなっている。