【論点⑥】
空き家が社会問題化しているのに
この先持ち家は必要なのか?

 最近、このような意見もよく聞かれるようになったが、それほど空き家が気になる人は、実際に借りてみたらどうだろうかと思う。何百万戸も空き家があるのに、多くの人が持ち家を買うのは、住みたい空き家がないからだ。住める空き家はほんの一部だし、今空き家になっているものは、長年修繕もせず賃貸募集もされていないデッドストックでしかない。

 日本全国の空室率は18%を超えるが、実際の空室率は管理委託されている賃貸住宅では10%、REIT(上場不動産投資信託)の運用物件では5%程度であり、ちゃんとしたオーナーは空き室に困ったりしていない。デッドストックの空き家が多いのは、人の住まないアパートでも壊してしまうと、固定資産税が6倍も高くなるので、やむなく残しているに過ぎない。これは、「空き家対策特別措置法」で適性化が図られることになる。もし空き家が多くて住宅の需給バランスが問題になっているのなら、賃料はとっくに大幅に下がっていることになる。これらのことを考えても、空き家と持ち家を同じ土俵で論じることには、現実味がないことがわかる。

【論点⑦】
大地震が多い日本で持ち家はリスク?

 実は、「大地震が起こると不動産価格は上がる」というのが過去の事実である。実際、東日本大震災後、仙台市の賃貸住宅の賃料は平均2割増しになった。震災により需給バランスが崩れたからである。平均賃料がこれほど上がることは日本の賃貸市場では稀に見ることだが、これは事実だ。筆者は連載第1回「首都直下地震で生き残る『最強物件』の条件」でも、このことに触れている。もちろん、価格が下がるところもあるが、それらは地盤が弱い、津波リスクがあるなど、元来人が住む場所として問題があった場所である。

 大地震が起こると、地盤の固いところの資産価値は上がり、賃料も上昇することは、先の震災で証明されている。持ち家を取得するなら、そうした場所を選ぶべきであり、逆にそうした場所でないならば賃貸にしておいた方がいいことになる。話は意外にシンプルである。

 このように、「持ち家か賃貸か」を7つの論点から検証してみると、巷の言説には的を射ていないものも多いことがわかるだろう。それよりも大事な論点は、別にあるように思われる。それは「住宅の質」だと筆者は考える。