マイナス成長の原因は<br />消費税でも世界経済停滞でもなく円安政策円安で企業利益は増えているのに、なぜマイナス成長に陥るのか

 日本経済は、2期連続のマイナス成長になった。このことの意味は極めて大きい。

 政府は、2015年4~6月期のマイナス成長を一時的とした。しかし、いずれ回復するとしてマイナス成長を無視するのではなく、その原因を真剣に検討することが必要である。

 消費税の増税からすでに1年半経っているので、停滞の原因を消費税に押し付けることはできない。また世界経済の停滞が原因だとも言われるが、後で見るように、そうとも言えない。

 経済政策が内蔵する要因のために、長期的な停滞から脱出できないのである。具体的に言えば、円安政策のためにマイナス成長に陥るのだ。

2期連続のマイナス成長
世界の中でも悪い日本の状況

 内閣府が発表した2015年7~9月期の国内総生産(GDP)第1次速報によると、実質GDPは、前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となった。4~6月期(年率換算で0.7%減)から2四半期連続のマイナス成長だ。しかも、マイナス幅がわずかではあるが、拡大している。

 なお、前期(4~6月期)の実質GDP成長率は、年率換算0.7%減、前期比0.2%減と2次速報値(それぞれ1.2%減、0.3%減)から上方改定された。

 今年度の成長率はどうなるだろうか?

 仮に10~12月期と16年1~3月期における実質GDP成長率が前期比年率0%であれば、15年度の成長率は、0.62%となる。これは、後で述べるIMFの見通しに近い数字だ。

 政府の経済見通しでは、15年度の実質GDP成長率は1.5%とされている(平成27年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度、15年1月12日、閣議了解)。

 これを実現するためには、10~12月期と16年1~3月期における実質GDP成長率が、前期比年率で4.73%となる必要がある。これは、とうてい実現不可能だろう。

 外国の状況はどうだろうか?