自転車事故を起こすと
高額賠償請求になる可能性がある
もし、妻や子どもが自転車事故を起こし、被害者から1億円近い損害賠償請求をされたら、あなたは支払うことはできるだろうか。
普通のサラリーマンで1億円の金融資産を持っている人など、まずいない。漠然と「保険で支払うことになるだろう」と思っていても、どんな保険に入っておくべきか、具体的に知っている人は意外に少ない。
2013年、神戸地裁は、事故当時小学生の運転する自転車が62歳の女性に接触し寝たきり状態にさせたとして、子どもの母親に約9500万円の賠償を命じる判決を下した。
自転車にはクルマやバイクのように強制保険がないので、カバーする保険に入っていないと通常は高額な賠償金は払えない。自転車と歩行者の事故では、自転車運転者が加害者になる可能性が高く、数千万円という高額な賠償が求められる場合がある。
こうしたことを受けて、兵庫県は今年10月1日以降、自転車を購入した人へ自転車保険の加入を義務づける条例を施行した。このニュースは、全国の自治体として初の試みとあって注目を集め、神戸地裁の判例と共に新聞やテレビでもよく取り上げられていたので、「自転車事故も高額賠償になるのだ」と認識を新たにした人も少なくないだろう。
報道以降、にわかに「自転車保険」が注目を集めるようになった。近所のコーヒーショップで隣のテーブルに座った主婦グループが「自転車保険、入っておかないと怖いわね」と会話しているのが耳に入ってきたこともあるくらい、子どもを持つ女性にとって神戸地裁の判決は「身近で怖い話」になっている。
一方で、このコラムのメイン読者である40~50代の男性は、通勤に使わない限り自転車に乗る機会が少ないだろうから「自転車保険って注目されているんだ、知らなかった」という人もいるかもしれない。
家族が「自転車乗り」なら、自分事として「リスク」と「リスクカバー」の方法を知っておこう。