国内と海外で会計基準が「統一されていない手間」は甚大

 一方、海外子会社も含めて、グループで原価計算の仕組みが整っている企業でも、深刻な問題を抱えている例があります。その最たるものが、国内、海外のグループ企業各社の、会計基準が統一されていない事例。各国で計算された数字を、即座に比較できないという状況の日本企業が多いのが実情です。

「会計基準の統一」というと、統一したルールを作り、いわば読み替えをすれば良いだけだと思われがちですが、実は、その都度、読み替えや再計算をすると、その労力と時間たるや、ビジネスに影響を及ぼしかねないレベルなのです。

 こんな企業がありました。その企業は同じ製品を生産している工場が、日本、アメリカ、メキシコにありました。設備の減価償却方法は、日本は定率法、アメリカ、メキシコは定額法を採用。そして、耐用年数は、各国でバラバラに決められていました。

 この企業の会計基準がバラバラであることが引き起こす最も大きな問題は、「同じ製品をどの国の工場で生産することが最適か」ということをすぐには判断できないことです。

 この場合、各国の会計基準の差異を明確にし、どの基準に合わせるかを決めて、各国の会計数値を基準に合わせる作業をしてから初めて、横串で比較ができるようになるわけです。この作業が終わってようやくこの数字は、「同じ製品をどの国の工場で生産することが最適か」という重要な経営判断に使えるようになります。

 言い換えれば、会計基準が統一されていない、それを補正することをしていない企業は、最適な経営判断ができていないと言わざるを得ません。また、その都度補正をしている企業は、その労力と時間をかけている間、経営スピードは確実に落ちます。技術力以外の面での、グローバル競争力の課題はこんなところにも潜んでいるのです。