10月の日本銀行金融政策決定会合で、追加緩和が見送られたことにより、金利上昇期待も高まったが、結局日本の長期金利は上昇しなかった。その結果、消去法的に米国債などの外債投資を積み増さざるを得ない投資家が増えている。

 日本の長期金利が上がらない背景には、債券需給の逼迫が挙げられる。14年10月の日銀の量的緩和第2弾は債券需給の逼迫と長期金利の低下を促すものとされてきたが、ほぼ同時に決定されたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分変更に伴い、14年後半から15年前半については一定の債券売りが長期金利の低下を阻んでいた。

 この動きが15年半ばに止まってきたことで、遅ればせながら債券需給のタイト化が意識された格好だ。今後も長期金利が上昇し難いというのがコンセンサスともなりつつある。

 こうした中、利回り低下局面における外債投資が積み上がっている。上述したように、外債投資の積み上がりがヘッジコストの上昇要因となっており、注意が必要だ。今後、さらにヘッジコストが上昇すれば、既に購入した外債のリターンがなお一層低下することになろう。また、リターン低下を避けるべく、為替ヘッジを外す動きも今後増えると予想されるが、ドル円が15年半ばの高値を抜け切れておらず、円安期待が剥落しつつある点にも留意するべきだ。米国債投資は「中リスク低リターン」といったものに変わりつつある。

(SMBC日興証券シニア金利ストラテジスト 野地 慎)