任期12年間で預金量増大<br />拡大路線定着で後進に道譲る<br />京都銀行頭取 柏原康夫Photo by Toshiaki Usami

──今年5月に頭取交代を発表した。任期12年間の総括は。

 1990年代後半、日本の銀行は等しく巨額の不良債権を抱えた。そのときの不良債権処理の対応が、今の京都銀行を形づくった。当時、全国の銀行はリストラで対処しようとしたが、規模を縮小すれば収益も小さくなる。それでは巨額の不良債権を処理できないと考え、店舗網を広げることで収益増加を狙う、量的拡大路線を取った。

 預金の獲得も最優先課題として取り組んだ。融資先がないから預金はいらないという風潮もあるが、預金は銀行にとって顧客の信頼の証。ゆうちょ銀行の問題もあるので、銀行経営者は預金の大切さを意識しておくべきだろう。

 預金は頭取就任時から約75%増え6兆円を超えた。地方銀行で15位だった預金量が今では6位になった。この間、行員も成長を実感することができたため、意欲的に働くことができている。

──今期の決算についての評価は。

 業務粗利益、業務純益は過去最高となったが行内的には高い評価をしているわけではない。市場の力には抗えず金利低下とともに利ザヤが小さくなっているからだ。大口の焦げつきも発生し、与信コストも予想以上にふくらんだ。実態的には国債の売却益によって収益を押し上げた面が大きい。