1.自分の思考を脇に置いて聴く
人の話を聴き始めて数秒もすると、「え? どういうこと?」「結局、何が言いたいのだろう?」「この話、いつまで続くのかな」「ああ、自分にも似たような体験があったな」「この人は、どうしてこんな考え方をするのかな?」などと、いろいろな思考が浮かんでくるものです。
このような思考(雑音とも言えるもの)とともに相手の話を聴くと、とても疲れますし、どうしても相手を見る色眼鏡の色が濃くなってしまいます。
もしも、このような思考が浮かんできたら、それをただちに脇に置き、相手の存在に意識を集中させてみてください。
それを何度も繰り返していると、相手の現在に集中できる瞬間が増えてきます。
その場の雰囲気としては、相手の話の内容を聴くというよりは、相手という存在そのものを感じる、という要領でしょうか。
私はいつも臨床の現場では、いろいろなことがあっても、それをとにかく生き延びて、今ここで一生懸命に話してくれている相手の存在に愛おしさを感じ、感謝するような気持ちで聴いています。
ポイントは、自分の思考に入り込んでいかないことです。
頭の中の「でも」「だって」を手放していくのです。
「相手に共感しなければ」などという思考も手放しましょう。