その意味では、東京から地方への移動、そして地方での中核市への集中が重要ですね。7大都市くらいまでが、東京の機能を一部代替できるようにならないといけない。先ほど小黒先生がおっしゃった企業・産業間の人の移動と、そうした“人口の移動”の二つがスムーズになるかどうかが、ポイントだと思います。そのためには、税はもっと分権化していい。一方で社会保障の方は日本国民が受けるべき生活・医療・介護の最低水準の問題なので、むしろ中央集権にするべきです。これが逆になっている。

小黒 例えば医療保険や介護保険の保険者をもう少し広域の範囲で統合し、保険料を一元化するというのもありかもしれない。必ずしも道州制じゃなくてもいいですが、集中と選択の観点から、地方交付税もいくつかのエリアに集中投下していくべきです。

飯田 全部に平らに撒いていたら、日本中で焼け石に水になるだけです。そもそも地方創生って、国が言う話じゃないと思うんです。どちらかというと、地域の自治体がどんどん言っていかなきゃいけない。

「AIやIoTが成長のチャンス」
「人手不足がその追い風になる」

──経済成長の三つの要素のうち、残る一つの生産性、技術進歩についてはどうでしょうか。

小黒 飯田先生もおっしゃったように、そこは非常に重要な話ですが、もし期待できるとすれば、私は人工知能(AI)やIoT、ビッグデータ、ロボットなどの関連かと思います。ロボットなんかは車やパソコンと同じくらい生産するときにたくさん部品を使うわけで、産業として裾野が広い。ですから、成長戦略をやるなら、本当はそこに絞ってもっと強化していくべきです。

 ここを取れないと、全部アメリカに持っていかれてしまう恐れがある。特にアメリカの軍事産業が手を入れると、パブリックマネーも入ってきてすごい勢いで成長し、それを民間に開放した瞬間に、インターネット革命と同じようなことが起きる可能性も十分あります。中国なども既にもうそこに目を付けていますね。

飯田 現在の日本の人手不足状態は、実はそうしたAI化やIoTの普及にとってはものすごく良い条件なんです。

 例えば2015年上半期の法人企業統計を見ても、小規模サービス業で非常に投資が増えている。一番大きく伸びているのは飲食店、外食産業等で、何とか機械化しないとビジネスが回らないから、例えば食器洗い機を新しくしたりする。これがもう少し進むと、おそらくファーストフード店やコンビニではレジに人が立たなくなるでしょう。日本の工作機械、工作ロボットがここまで進化したのは、80年代に圧倒的に人手が足りなかったからです。まさに必要は発明の母というか、“導入の母”になり得る。