経過観察の脳動脈瘤がみつかった
メーカー営業次長Uさん(40歳)
若くして「くも膜下出血」で亡くなった父
自分は父よりも長生きできるのか不安に
Uさんの父親は、くも膜下出血であっけなく40歳を前にして亡くなった。自宅での晩酌後、右手に力が入らず、「頭が痛い」と言ったあとに意識を失った。いびきをかいたまま、救急車に乗せられ、病院に運ばれた。中学生だったUさんはザワザワする気持ちで両親が乗った救急車を見送った。
自営業だった父親は肥満気味なうえに、お酒と煙草が手放せなかった。Uさん自身は、酒好きな父親と、酔った父の面倒で苦労した母親を見ているので、誘われた時以外、自ら酒を口にすることはない。食べるものにも気をつけているし、休日もなるべく休養をとるようにしている。健康診断も毎年欠かさない。
早く父親を亡くした人がみんな感じるように、Uさんも心の片隅で「父親の亡くなった年齢を越えられないのでは」と不安があった。
通勤中・仕事中に頭痛が襲う
健康診断で脳ドックを受けることに
Uさんの会社では、年に1回健康診断が義務づけられている。基本の健康診断以外は、自分が希望するメニューを選ぶ。昨年は、大腸の内視鏡を受診した。受診前はかなり緊張したが、ドックが終わった後に医師に「大丈夫です。これからも2年に1回は受けてください」と言われたときに達成感があった。
Uさんは40を前に、子供のために父親より長生きしたい、そして健康でいたいと切実に思うようになった。しかし最近は疲れが目立つ。仕事でも踏ん張りがきかない。ここ数ヵ月は通勤中や仕事中に不意に頭痛が起こるようになった。頭痛が起きている間は身体中に力が入らなくなる。
近所のかかりつけの内科医に相談したら、一度脳外科でMRIを撮ったほうがよいとアドバイスをされた。毎年健康診断を受診しているクリニックでは、脳外科の専門医がいるらしい。健康診断の書類に脳ドックの欄に印をつけて総務に提出した。
健康診断当日はクリニックに直行した。毎年やっている血液検査や血圧測定の後が脳ドックだ。検査前に、MRI検査中は、工事現場にいるような音がするからと耳栓を渡された。気分が悪くなったらこれを押すようにとスイッチも渡された。