トヨタ自動車が4月から製品群別の7カンパニー制度を導入する。盤石となった豊田章男体制の次なる狙いとは?
Photo:中西祐介/アフロ

4月から7カンパニー制へ移行
トヨタが狙う成長路線の新機軸

 トヨタ自動車が4月から製品群別の7カンパニー制度を導入する。7つのカンパニーとは、「先進技術開発カンパニー」「トヨタコンパクトカーカンパニー」「ミッドサイズヴィークルカンパニー」「CVカンパニー」「レクサスインターナショナルCo」「パワートレーンカンパニー」「コネクティッドカンパニー」だ。従来、機能軸の組織であった技術と生産技術を先行・量産で分け、各カンパニーに振り分けて、カンパニーごとにプレジデントを置き、責任と権限を集約することになった。

 トヨタグループ内で車両の開発生産を担う車体メーカーも、各カンパニーに参画することになる。たとえばコンパクトカンパニーには、先に完全子会社となったダイハツも参画することになるだろうし、CVカンパニーには、トヨタ車体と日野自動車も噛んでくるだろう。トヨタグループのグローバル1000万台ライン時代への体制強化を覗かせる。

 一方で、「豊田家への大政奉還」と謳われた豊田章男社長の登場が2009年6月であり、章男体制8年目を迎え、長期政権下において、次を担う人材が各カンパニーのプレジデントから育成され、選ばれる可能性が出てきたと言えよう。

 トヨタにとってカンパニーの設置は、奥田体制時代に「バーチャル・ベンチャー・カンパニー(VVC)」を社内に展開し、VVCプレジデントを置いたとき以来である。ただVVCは、1997年8月に当時の奥田社長が若い世代向けの商品開発を手がけるための社内カンパニーとして展開したもので、実験的な社内カンパニー制の採用だった。

 その意味では、今回の7カンパニー体制への移行は、トヨタ及びグループ各社を巻き込んだ本格的なカンパニー制の採用と言える。豊田章男社長もこの新体制に向けて、「この組織改正は『ソリューション』でなく、『オポチュニティ』である。皆で力を合わせ、この新しい体制を『もっといいクルマづくり』と『人材育成』を促進する『オポチュニティ』にしていきたい。この組織改正を将来の正解にするのも、間違いにするのも私たち自身である」とコメントしている。

「嵐の中の船出だった」と自ら述懐する豊田章男社長が、トヨタを率いて7年が経過するなか、同社はここにきて確実に「強いトヨタ」の歩を進めている。リーマンショック前の業績を超えて4年連続世界1を確保し、グルーバル1000万規模を狙うトヨタグループのサスティナブル・モビリティ(持続ある成長)を目標としたカンパニー体制への移行は、トヨタトップとして自信を深め、カリスマ性を持った章男社長にとって大きなステップであろう。