『ずるい暗記術』韓国版が総合1位を獲得!

 韓国は試験でその人の人生が決まると言っても過言ではない社会。大学受験の先にも、資格取得のために試験を受ける人が少なくない。

「公務員試験だけでも、毎年30~40万人の受験生がいる。韓国では1~9級に分かれた公務員制度があり、9級は高校を卒業した人しか受けていなかったのが、大学卒業生や多くの20代が受けるようになっている」(公務員ジャーナル・ナム ミライ記者)

「韓国では就職難が続き、競争がより一層激しくなっている。頭が良くないと仕事もできない。女性は仕事を持っていないと結婚できない」(ニューシス・シン ヒョウリョン記者)

 など、資格取得のための勉強法に需要があることがわかる。

なぜ、『ずるい暗記術』は韓国で電子書籍総合1位をとれたのか?y2booksで、3週連続総合1位に!

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『ずるい暗記術』韓国版は、発売してすぐ、紙の書籍はもちろん、電子書籍がヒット。紙より電子書籍が先に売れるのは韓国ではいい傾向のようだが、日本でアマゾンに相当するyes24.comでは、4月4日付で総合1位を獲得。YPbooks(大手書店2位)が運営するY2booksでは、3月4週、5週、4月1週の週間売上ランキングで、総合1位を獲得。韓国での人気の高さがうかがえる。
 

なぜ、『ずるい暗記術』は韓国で電子書籍総合1位をとれたのか?yes24.comにて、4月4日付総合1位を獲得

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 今回のマーケティングプランには、徹底したオンライン戦略があった。聞くところによると、新聞広告はあまり効果がなく、バイラル・マーケティングという宣伝手法が韓国では主流のようである。

 リアル書店では、少し前から定価販売が採用されている。それはそれで問題が起きているようだが、オンライン書店は10%引きが慣例。電子書籍は価格をコントロールできるので、読者対象を考えると、電子書籍との親和性が高かったのだろう。

 また、偏差値30の学年ビリだった著者が短い期間で司法試験に一発合格――この「一発合格」という響きも受けいれられたようだ。

「韓国では約20年前に、日雇い労働者が司法試験を受けて高い成績を残した本がベストセラーとなった。以前は勉強できなかった人がどのように短期間で合格したのか、そこに関心が集まっている」(法律新聞・ジャン ヘジン記者)

 韓国には、「簡単に得た知識は簡単に忘れる」という諺に近い言葉があり、暗記という言葉は、韓国ではネガティブワードのようである。韓国のタイトルは、「正解から見るずるい勉強術」となったが、今まで当たり前と思われていた勉強法ではなく、正反対の方法で著者が勉強していたことに驚き、韓国読者の関心を集めた。

 さらに、著者の劇的なストーリーも評価された。韓国の出版社から著者の人生をテーマにしたエッセイを出してほしいと懇願されたぐらいだ。