円安サイクルは2月早々に終わった。日本銀行のマイナス金利導入という円安政策が効かないことへの失望が契機となった。ただし、円高を招いた最大要因は米国の景気減速と金利先高観の後退である。米景気の堅調なくして日銀の追加緩和の円安作用は発現しない。

 ドル円が120プラスマイナス5円のレンジを1年強続けた後に115円を割り込み、残されたもろもろのドル買い・円売りポジションに損失が出る領域にまで落ち込んだ。

 短期的には、新たにドル買いのリスクを取るより、相場の戻りでドルを売りたいとする円高圧力が優勢になる。ドル円に好材料が出ても、相場の戻りが限られると、失望からドル売りを呼ぶ。ドル円に悪材料が出れば、そのままドル売りが促される。こうしてドル円は110円を割り込んだ。

 ドル円が110~115円のレンジに立ち直っていくには、短期筋のドル売りが一巡し、中期的に米国の景気拡大と利上げ継続の観測が復活する必要がある。当面は100円台で円の高値を試す地合いが続くだろう。