家計相談に来る半数が
「1ヵ月に使っている額がわからない」

 まず(1)の「毎月いくら使っているのか」を即答できないのは、計画的にお金を貯めていないからだ。毎月、決まった額を貯めている人なら、月々の手取り額から貯蓄分を差し引いて使っている金額を計算できるはずなのだ。

 (2)の1年間で貯めた金額も、「毎月5万円、ボーナス時は20万円」などと貯蓄に回す分を決めている人なら、「年間100万円貯めている」とすぐ答えられる。1ヵ月に使っている金額がわからない人の多くは、月々の手取り額以上に支出が膨らんでいることに気付いていない。普通預金にまとまったお金が入っていると、毎月赤字になっていても日々の生活は回るからだ。ボーナスで赤字を補填するので、預金額は大きく減ることはなくても、増える気配もない。私のもとに相談にやって来る人のうち、半分ほどはこのパターンに陥っている。

 普通預金に200万円程度を維持していて「ある程度のまとまったお金はある」状態というケースも多く、やりくりに困っているというほどではないので、危機感が乏しいのも特徴と言えるだろう。

 だが、貯蓄が増えていないのは、企業でいえば「利益ゼロ」が続いているということ。このような状態を放置すれば、老後資金の準備はとても間に合わない。