メッセージの施設数は、04年の株式上場時の63施設から、現在は307施設と約5倍に増えている。

 サ高住「Cアミーユ」については、直営施設だけでも12年度は74施設と前年度の30施設に比べ、一気に44施設も増えている。

 15年10月に一連の事件・事故を受けて設置されたメッセージ第三者調査委員会の「調査報告書」(15年11月30日付)によると、「施設数が拡大する中で、管理者として適切な人材が不足していた」と指摘している。

 ここでいう管理者とは、施設長、副施設長クラスの管理職のことだ。典型的な労働集約型産業である老人ホーム業界において、職員の士気にも多大な影響を与える施設長は、何よりも重要といわれる。

 その施設長に問題が生じると、トラブルが頻発し、職員の退職が相次ぐことも珍しくない。そうすると、人数合わせのために多少問題のある職員も採用せざるを得なくなる。やがて、現場の崩壊をもたらす。

現場が崩壊していた
Sアミーユ川崎幸町

 その典型ともいえるのが、例のSアミーユ川崎幸町だ。

 このホームは、職員による殺人の疑いのある転落死と窃盗をはじめ、複数の職員によるナースコール外しや暴言といった虐待、入浴中の事故など多くの不祥事が集中している。

 肝心の管理者はどうだったのか。実は2人の管理者のうち、15年1月に施設長が交通事故で入院して管理者から外れた。もう1人の管理者も体調不良を理由に休暇を取得して不在。2月には新たな管理者が着任したが、体調不良で早々に退職した。人格や指導力などは不明だが、少なくとも15年1~4月、施設長クラスの管理者が頻繁に代わり、不在となる時期があった。異常な事態だ。

 しかも、調査報告書によると、Sアミーユ川崎幸町でのナースコール外しについては、入居者の家族について「特殊な事情」を指摘している。

 具体的には、(1)週3回の頻度で家族が入居者を夜間に訪問して明け方まで飲酒していた、(2)入居者家族も身の回りの世話(床に落ちた物を拾う行為なども含む)を求めて、ナースコールを頻繁に鳴らすことがあった、(3)通常の接遇範囲を超えた過度な対応の要求が常態化していた、などだ。