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マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

固定電話が主役だった時代は何が良かったか

相手と話すシナリオを何度も考えた理由

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第99回】 2016年5月9日
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縁を大切にし丁寧に
関係を築き上げたい

 だからこそ……だったのかも知れません。

 相手と会う時はもちろん、電話や手紙でコミュニケーションを取る時は、その瞬間瞬間をとても大切にし、今以上に感情を込めて気持ちを伝えていたように思います(もちろん、若かったためでもありますが)。

 固定電話や手紙がコミュニケーション手段の主役だった時代、相手は比較的自分との距離が近い人に限定される傾向が強かったように思います。全く知らない人とコミュニケーションする手段は、せいぜい雑誌で文通相手を探して手紙のやり取りをするくらいだったでしょうか。

 電話を掛ける、手紙を書くという行為は本来手間の掛かる作業です。電話に相手が直接出てくれなかった場合はどうするのか、心を込めて手紙を書いても気持ちが伝わるかなど、一人で悩み抜き、時間をかけて電話で話すシナリオを何度もシミュレーションしたり、手紙の文面を練ったりします。

 今ほど誰とでも簡単に繋がれない時代だからこそ、相手との縁を大切にし、丁寧に関係を築き上げて行きたいという気持ちは、たしかにありました。

 モバイル端末でインターネット越しに、同時に複数の人と、お互いがどこに居てもリアルタイムなコミュニケーションができる今はどうかといえば、知らず知らず昔の気持ちを少しずつ失っていることに気付くことがあります。

 24時間を通じて誰かと接触し、場合によっては休日であろうが寝ていようが、リアルタイムでの対応が求められることもあります。常に誰かを追い、追いかけられるようになってしまえば、少なからず誰でも人を避けるようになるでしょう。

 デジタルネイティブといわれる現代の若者の間で、ソーシャルメディア疲れが進んでいるというデータが散見されるのも分かります。

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藤田康人
[インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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