そもそも「地震の予測」は可能なのか
熊本地震は事前に分かっていたのか?

 1995年に起きた阪神・淡路大震災の直後、国は地震調査研究推進本部を設置し、全国で活断層の調査を行った。将来、起こりうる大地震を予測し、対策を講じて可能な限り被害を減らすためだ。今回、熊本地震が起きた活断層は、どういった調査結果が出て、どんな予測が立てられていたのか。

「熊本地震が起きる1~2ヵ月ほど前には、九州南西の甑島列島付近の海域で地震が多発するなど、今から思えば前兆と思える活動がありました。しかし、そういった異常は常にどこかであり、それが大地震に繋がるかどうかは、予測が難しいのです」

 こう語るのは、東京大学地震研究所の古村孝志教授。古村教授によると、たとえ異質な地震活動が確認されたとしても、実際に大きな地震に繋がるケースは10分の1程度と、極めて小さいらしい。

「海溝型のM8級の巨大地震であれば、地震が起きかけたプレート境界の状態変化が地震活動やわずかの地殻変動として観測に捉えられる期待があります。しかし、今回のような内陸活断層によるM7級の地震では、事前に『地震発生の予兆だ』と判断できるデータを得ることはできません。熊本地震のような内陸の地震は、『何の兆候もなく突然に起きるもの』と思っておいたほうがいいでしょう」

 地震発生の予測に関して、古村教授は科学の進展により『予測できるもの』と、どれだけ科学が進んでも『予測が困難なもの』があるという。熊本で起きた一連の大地震では、何が予測できていたのだろうか。

「熊本地震に関して、将来大地震を起こす活断層の存在と地震の『規模』がわかっていました。日奈久断層帯と布田川断層帯、それぞれの長さや形状と過去にあった地震活動から、日奈久では『最大でM6.8程度』、布田川では『最大でM7程度』と地震規模が算出されていたのです。しかし、それが『いつ起きるか』の判断は、とても難しいとしかいえません。

 調査によって出された今後30年以内の発生確率は、日奈久は『不明』、布田川は『0~0.9%』でした。活断層の地震間隔は1000年から1万年という非常にバラつきが大きいものであり、直前に起きた地震の年代がわかっても、次がいつ来るのか、予測にも幅が出てしまうのです。それを30年以内という短い期間の発生確率として見ると、先に述べたような小さな数値にしかならないのです。

 また、日奈久から布田川断層にそって大きな余震が続いたのは、地震を起こす十分な“ひずみ”が溜まっていたからです。阿蘇や大分でもたくさんの地震が誘発されたのも同じ理由です。その地中の“ひずみ”の状態も測定することができません。地震が、いつ・どこで起きるかはっきりした予測ができないのは、ひずみの貯まり具合が良くわからないこと、満期になってもしばらく持ちこたえ、実際にいつ起こるのか、地震の『気まぐれ』さがあるためです」