参議院選挙や英国のEU離脱の陰に隠れて目立たないが、中国は日本への挑発を続けている。挑発を年々エスカレートさせている中国。尖閣をめぐって日中が戦争になる可能性は、強まっている。しかし大局を見れば、中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し、自滅に向かっている。

挑発の動きを強める中国
真の狙いは何か?

 中国軍艦は6月9日、尖閣周辺の接続水域に入った。そして、6月15日には、鹿児島県・口永良部島周辺の領海に入っている。この2つの挑発について、順番に見てみることにしよう。まず、中国軍艦が6月9日、尖閣周辺の接続水域に入った件について、産経新聞6月10日から。

<防衛省などによると、9日午前0時50分ごろ、中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻が久場島北東の接続水域に入ったのを海上自衛隊護衛艦「せとぎり」が確認。フリゲート艦は約2時間20分にわたって航行し、午前3時10分ごろ、大正島北北西から接続水域を離れた。>

 これは、何を意味するのだろうか?中国は、年々挑発のレベルをエスカレートさせている。その行動には一貫性があり、戦略的な動きと見るべきだろう。

中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し自滅に向かっている日本のみならず、米国やインドも挑発している中国は、国際社会で孤立の道を歩んでいる Photo:REUTERS/AFLO

 ここで少し、中国の動きについて振り返ってみよう。

 2008年、米国発「100年に1度の大不況」がはじまった。09年、世界中の多くの人が、「米国の時代は終わり、中国の時代が来た」と思った(09年、米国のGDP成長率はマイナス2.78%だったが、中国はプラス9.2%だった。さらに、10年10.61%、11年9.46%成長。中国のGDPは日本を抜き、世界2位に浮上した)。

 10年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こる。どう見ても中国が悪いのだが、同国は日本に「レアアース禁輸」など過酷な制裁を課し、世界を驚かせた。この時期から、中国政府の高官たちは、「尖閣は、わが国『固有の領土』であり、『核心的利益』である」と世界中で公言しはじめた。

 12年9月、日本政府、「尖閣国有化」を決定。これで、日中関係は「戦後最悪」になってしまう。以後、中国は、「領海侵犯」「領空侵犯」を繰り返すようになっていく。12年11月、中国は、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」の創設を提案。中国の代表団はモスクワで、「日本には尖閣ばかりか、沖縄の領有権もない」と断言した(「反日統一共同戦線」戦略の詳細はこちらを参照)。

 13年11月、中国は尖閣も含む「防空識別圏」を設定。このように、中国は、10年以降、特に12年9月の「尖閣国有化」以降、徐々に挑発をエスカレートさせている。「反日統一共同戦線」戦略で宣言されているように、中国は「日本には尖閣の領有権も沖縄の領有権もない」とはっきり主張している。その上で、挑発行動を徐々に強めているのだから、「まず尖閣を、その後沖縄を奪うことを意図している」と考えるのが自然だ。