依頼を拒否する場合などには、「せっかくですが」「身に余るお言葉ですが」のように感謝の気持ちを伝えると柔らかい印象を与えることができます。このように言葉を加えたり、表現を変えるなど、相手に対する思いやりの言葉があるだけでコミュニケーションはスムーズになります。こうしたベーシックな手法は大抵の会社で若手社員研修の機会で提供しています。それを繰り返していくことで、学生時代には馴染みのなかったクッション言葉も徐々に慣れて覚えていきます。

 ただ、仕事で活躍するには“ベーシック版”だけで十分とは言えません。職場の暗黙知を理解して行うコミュニケーションを駆使する“応用編”を知ることも大切です。

 例えば、社内での上司に対する呼び方。「社内では役職で呼んではいけない」という暗黙のルールがあるのに、「さすが部長!」と思わず言ってしまったらどうでしょうか。部長を讃えるその発言が、かえって相手に不快な思いをさせてしまう可能性もあります。

研修では教えてもらえない
高度なコミュ力が必要な理由

 ただ、これくらいのことは大した問題ではありません。社内にはもっと複雑怪奇な暗黙知があるのでやっかいです。いわゆる“空気を読む”必要があるため、多くの若手社員はこれに苦労しているのではないでしょうか。

 例えば、上司から「忌憚ない意見を言ってくれ」と言われたときの返答法。取材したネット系のベンチャー企業は平均年齢が若く、ビシバシと指摘し合うコミュニケーションが当たり前。ゆえに、忌憚ない意見を普通に返すことが求められ、できないと社内で「使えない」と評価されてしまいます。

 一方で、創業から歴史のある製造業の企業では「当たり障りない意見でお茶を濁す」のが当たり前。ただ、さすがに「とくに意見はありません」とは言えないので、本質には関係しない些細な指摘をするのが適切なコミュニケーションのルールでした。ベーシックな研修では教えてくれない、自分なりの応用が必要になります。