日本の1~3月期実質GDP前期比年率換算は▲15・2%だった。さすがに4~6月期以降は急激な生産調整が和らいで緩やかな回復を示していくと思われるが、日銀は警戒姿勢を継続するだろう。
米国では失業者が増加中である。それは米銀の個人向けローンのデフォルト率を高めていく。
イングランド銀行のマービン・キング総裁は5月上旬に、「多くの投資家たちは、“Green Shoots”(回復の若芽)が力強い回復につながっていくと信じているが、中央銀行家は慎重でなければならない」と警告を発していた。日銀政策委員会も同様のスタンスだろう。
サンフランシスコ連銀のジャネット・イエレン総裁は先日の講演で、深いリセッションの後に急速なV字型回復が来ると経験則的に信じる人びとがいるが、自分は賛同できないと語っていた。
それらのV字型回復は、FRBがインフレ率押し下げを意図して行なっていた高金利政策を解除した後に起きている。今回のように、金融システム危機で生じたリセッションの場合は、過去のケースを見渡しても回復に時間がかかるという。
一方、先週号でも見たように、中国経済は政策に後押しされて内需が強力に成長を牽引している。中国単独で世界経済を引っ張ることは不可能だが、日本企業にとって中国の内需は、欧米が立ち直るまでの貴重な支えとなっている。