北海道の購入者からのひと言

「3歳の息子が野菜嫌いで困っていたのですが、風来さんの野菜だけはバクバク食べる。こちらこそとても感謝しています」

 まさにやりたかったサービス業がここにあった、と実感しています。

「農家を目指すな、 “百姓”を目指そう」

 これは、今、就農希望者にお話しさせていただく際に必ず言うことです。

 百姓とは百の仕事ができるということ。百姓は昔から「田んぼをするなら畑もしろ」「畑をするなら漁に出ろ」「冬は縄を編め」と言われてきました。

 自然相手の農、いつ何があるかわかりません。

 つまり百姓という文字は、リスク分散からきているのです。

「百姓に学ぶ時代」がきている

 これからは農家といっても、作物を育てて売るだけでは難しい時代です。

 もちろん、果樹や単収入の高い野菜を集約的に育てる方法もありますが、そうなると初期投資もかかりますし、どうしても大規模にならざるをえません。

 私のように、50品種以上を育てる多様性のある農業なら、小規模でできるのでリスクも少なくなります。

リスクの分散は、これからの世界を生きていくためにとても重要なキーワードではないかと実感しています。
「百姓に学ぶ時代」が、今、きているのです!

西田栄喜(にした・えいき)
菜園生活「風来」(ふうらい)代表。1969年、石川県生まれ。大学卒業後、バーテンダーとなる。1994年、オーストラリアへ1年間遊学後、ビジネスホテルチェーンの支配人業を3年間勤務。その後帰郷し、1999年、知識ゼロから起農。
小さなビニールハウス4棟、通常の10分の1以下の耕地面積である30アールの「日本一小さい専業農家」となる。
3万円で購入した農機具などで、50品種以上の野菜を育て、野菜セットや漬物などを直売。SNSなどでお客さんとダイレクトにつながり、生産・加工・販売を夫婦2人でやりながら、3人の子どもたちと暮らす。
借金なし、補助金なし、農薬なし、肥料なし、ロスなし、大農地なし、高額機械なし、宣伝費なしなど、“ないないづくし”の戦略で、年間売上1200万円、所得(利益)600万円を達成。
基準金額95%未満でも105%超でも反省する「売上基準金額経営」を実践。
小さいからこそ幸せになれるミニマム主義を提唱。地域とお客さんとのふれあいを大切に、身の丈サイズで家族みんなが明るく幸せになる農業を行う。
著書に『小さい農業で稼ぐコツ――加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円』(農山漁村文化協会)がある。最近は、多くの新規就農者の相談に乗りながら、全国各地からの講演依頼も多い。
【風来HP】http://www.fuurai.jp/