離職防止にオンラインでの入社前教育も有効

 教育は働く人のモチベ―ションを高め、離職防止につながります。

 では、どのような教育の仕組みをつくればいいでしょうか。2点、紹介します。

 1点目は、前回ご説明したように、研修後に面談し、研修で学んだことができているかをどうかをチェックし、評価する仕組みをつくることです。研修のやりっぱなしでは時間とともに忘れていき、成果は薄れてしまいます。学んだことを実践し、それが評価されることで、さらに学びを深めるという好循環が生まれるわけです。

 人は成果を正当に評価されると、モチベーションや企業への愛着心・貢献意欲(エンゲージメント)が向上します。したがって、客観的、あるいは透明性が高い評価制度や評価制度の確立は、離職防止に有効なのです。

 2点目は、入社前教育の実施です。入社前に予習しておけば、「仕事についていけないのではないか」という不安を減らすことができますし、入社後の研修や業務のなじみ方も早いでしょう。

 学生が入社する前から勉強なんかしたくないだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、学生の見方は異なります。内定者は仕事についていけるだろうか、と漠たる不安を感じており、入社前に少しでも業務や会社のことを知っておきたいと考えているのです。

 ある飲食店では、内定者に対して、店舗内を動画で撮影し、テーブル番号と配置を紹介したところ、「すぐに覚えられるだろうか?」という不安が軽減され、好評だったといいます。

 ホスピタリティ&グローイング・ジャパンでは、スマートフォンで文字や動画のマニュアルを確認したり、必要な知識を学ぶための3000問以上のクイズなどがついた「グローイング・モバイル」というクラウドツールを開発しました。社員教育にとどまらず、内定者の事前学習や会社の理解促進のために利用する企業も増えています。

 採用した人を戦力として活躍してもらう――。サービス業には、そんな“人財育成戦略”が問われているのです。