コネクテッドカーの洗練性が完全でない…
再起動の必要やバグも発生

 もう一つの難点は、コネクテッドカーとしての洗練性がまだ完全でないことだ。カーナビのGoogle Mapはおおむね有効に機能したが、自車位置のGPS情報とマップのリンクが上手くいかないことが幾度もあり、クルマの電源を一度落としてから再度ONにする必要があった。また、普通充電を行う時、いちいち設定し直さないと充電電流が低く制限されてしまう、というバグもあった。この普通充電の問題は、最近オンラインアップデートで修正されたそうだが、問題はこれだけではなかったので熟成を図ってほしいところだ。 

 車内はパッケージング、装備とも前席優先型。前席は余裕の広さかつ静かで、前旅程を通して快適至極であった。オーディオはドアスピーカーを持たないハーマンカードン製サウンドバーだが、音質、パワー、サラウンド効果とも標準装備系のオーディオとしては必要十分以上で、前ドアスピーカーレスであることによるネガは感じられなかった。

 前席空間に関してもう1点、ポジティブに感じられたのが採光性、開放感に優れること。外観の印象とは裏腹に、窓面積が結構広く取られていた。加えて、パノラマガラスルーフなる広大な固定式グラストップが備えられていたことも採光性向上に大きく寄与していた。

 EX30の内装の特色は、トリムに再生材料を豊富に使っていることだ。環境負荷低減に有効とされる再生材料だが、真っさらな材料に比べると質感を出しにくいという弱点がある。EX30の開発陣は、その弱点をどう克服するかではなく、「再生材料の質感をどのように生かすか」という視点でインテリアをデザインしたそうで、それは十分に成功しているように感じられた。非常にモダンで洒落た印象である。また、今どきのクルマらしく色合いを変えられるイルミネーションが仕込まれているが、それも控えめながら良い雰囲気を出していた。

前席前席。シートは滑りにくさ、体圧分散、体重支持力ともロングツアラーとして十分以上。※この写真のみ試乗車と異なる Photo by K.I.
オーディオオーディオはハーマンカードンのサウンドバー。前ドアにはスピーカーがなくサウンドバーのみで音を奏でるが、サラウンド効果は十分 Photo by K.I.
控えめなイルミネーション室内には控えめなイルミネーションが各所に配されていた Photo by K.I.
グラストップグラストップは固定式であるかわりに広大。ただしサンシェードは持たない Photo by K.I.