電費が悪かったor良かったケース
「充電器の使い分け」も大事なポイント

 最も電費が悪かったのは、120km/h区間をはじめ終始速い流れに乗って走った高速道路Aのケースで、実航続距離の計算値は332.8km。90km/h上限で走った区間は480kmだった。

 一方、最も電費が良かった郊外路Bの場合は(航続距離が)524.8kmという計算になる。BEVは低温環境では航続が落ちるという特性があるので、冬季はこれに0.8がけくらいの数値になるものと予想される。

 この範囲を超えてドライブを行う場合、旅程の途中で充電が必要だ。宿泊を伴うドライブの場合、ホテルや旅館に普通充電器があればかなり強力なアシストになる。今回の長距離ロードテストでは、1泊目の山形市のホテルに普通充電器があった。一般家庭用と同等の200V×15A=3kWではなく、太陽光発電ありの住宅と同じ200V×30A=6kWの倍速充電器で、一晩で充電率を14%から92%に回復させることができた。

 長時間滞在する場所に普通充電器がない場合、急速充電器を使う必要が出てくる。急速充電器は機材によって最大電流が異なるが、EX30を充電してみたところ、車両が受け入れる最大電流は200Aだった。よって、EX30の能力をフルに生かすためには、200Aの充電器を選んで使いたい。知らずに低速な50A充電器など使おうものなら、30分経過後にロクに充電されていなくてショックを受けることになる。反対に、最大350Aの超高速機を使っても、車両側の都合で200Aに制限されてしまうので意味がない。

 さて、200A充電30分でどのくらい充電できるかだが、バッテリーがしっかり減った状態であれば投入電力量39kWh台、充電率でみると58~60%の回復である。残量30%と少し多めだったときはスコアが下がるが、36kWhを確保できた。

 航続距離で考えると、今回のドライブの実感では1回につき250km程度の航続距離を稼げる計算になる。高速道路と一般道の混合ルートを走る場合、満充電スタートの航続が400km、その後30分充電1回で650km、2回で900km、3回で1150km…と、旅行距離に応じて航続を積み増していくと考えるとイメージしやすいだろう。

 この充電受け入れ性は、日本のCHAdeMO規格充電器を使用するBEVとしてはかなり優秀な部類に属する。日産自動車の「アリアB9 e-4ORCEリミテッド」、ヒョンデ「アイオニック5 ラウンジAWD」など格上の長距離・高性能型BEVと同等のツーリング能力を持っていると実感した。