“国際派”校長の就任が続く海城中学高等学校(東京・新宿区)

多様なキャラクターを持つ男子校新校長

 今年は私立中高一貫男子校の校長交代が多い。東京私立御三家に準じる合格実績を重ねている海城中学高等学校は、三菱商事鉄鋼輸出部門出身の柴田澄雄前校長から、大迫弘和新校長に引き継がれた。学校長就任挨拶を「君よ 豊饒の大海原へ漕ぎいだせ」と詩でつづる東京大露文出身の詩人でもあり、千里国際学園(現・関西学院千里)や同志社国際学院、リンデンホールスクールの校長を歴任するなど国際バカロレア(IB)教育に通じている。以前は都立高校の校長経験者が就いていたが、創立者のひ孫の古賀喜博理事長は、こうした“国際派”の起用に最近は熱心な様子がうかがえる。

 海城同様、旧日本海軍ゆかりの男子校である攻玉社中学校・高等学校は、創立160年という節目の年に同校OBで「攻玉社愛」にあふれる藤田陽一新校長が教頭を経て就任した。創立110周年の年に中学入学、野球部で活動した。東京都高等学校野球連盟の審判部に所属、母校には野球部の監督として誘われ、当初は事務職員として、のちに社会科教員として勤務することに。硬式野球部と中学野球部でそれぞれ17年間監督を務めた。都立国立高校校長を務め、同校が夏の大会で東京都代表になったときに都高野連会長だった岡田武男氏がのちに攻玉社校長となったことも、同校で野球が盛んになった一因だろう。

 その攻玉社の岡田貴之前校長は西武ライオンズファンで、自らの出身地に近い東村山市にある明法中学・高等学校に転じた。早稲田大教育学部卒業後、神奈川県の私立高校に2年勤め、英語科教員として攻玉社で33年間を過ごした。将棋アマチュア二段、小型船舶免許を取得し、テナーサックスを始めるなど趣味人でもある。岡田新校長の生年と同じ年に開校し、来年60周年を迎える明法は、元々男子校だったが、高校は2019年に共学化、次は中学にも女子生徒を迎えることを視野に入れている。

 早大大学院を出た後、社会科教員となり、5年間教頭を務めてから就任したのが逗子開成中学校・高等学校の小和田亜土(こわだ・あど)新校長。教員バンドの一員として、文化祭ではサックスを吹いている。これまでもカリキュラム改革を主導してきたが、創立120周年を迎えた今年はスクールポリシーを策定、新たな教育プログラムの開発にも取り組んでいくことになりそうだ。同じ湘南エリアでは、藤嶺学園藤沢中学校・高等学校の林学新校長も教頭からの就任となる。

 1月初旬には東京会場での入試も行っている函館ラ・サールでは、開校以来歴代の校長をラ・サール会修道士(ブラザー)が担ってきた。今回初めて、修道士ではない日本人教員として、副校長から就任したのが齋藤瑞木新校長である。鹿児島にある兄弟校のラ・サール学園ではドミンゴ・ビヤミル校長が頑張っている。