良い上司は「褒めて伸ばす」、ダメな上司は「おだてて潰す」

「信賞必罰」の本当の意味を理解しているか

 前回は社員の働きがいを高めるためには「信賞必罰」が必要だという話をしました。会社における信賞必罰とは会社の方針に従って働いて、結果を出した人に報いるということ。働きの悪い人を罰することが主眼という意味ではありません。

良い上司は「褒めて伸ばす」、ダメな上司は「おだてて潰す」小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 会社は働きに来るところなので、良い仕事をした人を褒めて、働きの悪い人とは差を付けるべきなのですが、残念ながら多くの会社は信賞必罰の意味を間違えて解釈しています。

 良い仕事に報酬や地位で報いることは大切ですが、報酬や地位だけを強調して社員を動かせようとすると、お金を得ることが目的と思い始め、仕事を手段と捉える者も出てくるでしょう。それでは、「金の切れ目が縁の切れ目」のような社風となってしまいます。

 私の人生の師匠の藤本幸邦老師がおっしゃった「お金を追うな、仕事を追え」を徹底するためにも、お金や地位だけでなく、ちょっとしたことでも褒める社風の会社を作ることが大事です。それが働きがいを高めることにつながります。

 褒められるとだれだってうれしいものです。もし、人に喜んでもらったり、それによって褒められるのをうれしいと感じない従業員がいるとすると、それは採用の誤りというべきでしょう。そういう人を採用してはいけないのです。

 多くの会社が社員のモチベーションを上げるのに大きな努力をしていますが、褒められる、評価されることによって働きがいを上げれば、自然に社員のモチベーションは上がるものです。社員が大きな働きがいを感じる瞬間が、褒められた時です。上手な経営とは、社員が褒められる機会や感謝される機会をどれだけつくれるかということです。