「iPhoneは売れない」とした日本の発想と、シリコンバレーの発想の違い既存企業は「帰納法」、ベンチャー企業は「演繹法」。両者の発想法は水と油ほどに違う

「携帯電話の顧客が一番嫌うのは、電池が切れることだ」「日本の携帯ユーザーはテンキーで日本語入力するのでQWERTYキーボード(パソコン配列のキーボード)は要らないはずだ」

 米アップルがiPhoneを発表したときの日本企業やメディアの反応はこのようなものだった。だから、「iPhoneは日本では売れない」と結論づけていた。

 その後、iPhoneは日本の携帯電話市場をひっくり返してしまった。では、なぜ日本企業はアップルに敗れたのか。

 根本原因は日本企業が自分たちの発想にとらわれ、「シリコンバレーの発想」を理解できなかったことにある。言い換えれば、「帰納法」的発想と「演繹(えんえき)法」的発想の差にある。

 帰納法とは、多くの観察事実から類似点をまとめ上げることで、結論を導く方法といわれる。