家族を困らせない相続第5回Photo:cienpies/gettyimages

親の死後、誰が財産を受け継ぐのか。2020年1月5日(日)まで全18回でお届けする特集「家族を困らせない相続」の第5回は、親が死亡したときの法定相続人の範囲と優先順位を解説する。また、あなたを中心とした相続人の範囲と順位をシミュレーションできるシートも用意した。(監修/弓家田良彦〈税理士法人弓家田・富山事務所代表社員〉)

「週刊ダイヤモンド」2019年8月10日・17日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

まず押さえるべき用語は
「法定相続人」と「被相続人」

 親の死後、誰が財産を受け継ぐのか。財産を「相続する人」を、「相続人」または「法定相続人」と呼ぶ。

 それに対し、財産を「相続される人」、つまり亡くなった人を、「被相続人」と呼ぶ。まずはざっくりと、これを押さえておこう。

 法定相続人は、法律においてその範囲と順位が定められている。下図を見てもらえば分かるが、配偶者(下図では母)は、順位に関係なく常に法定相続人の1人だ。

親が死亡したときの法定相続人の範囲と優先順位
Illustration by Suyama Natsuki 拡大画像表示

 それ以外の血族は、第1順位、第2順位、第3順位と、順位が決まっている。

 第1順位は、亡くなった人の「子」や「孫」が該当する。これを「直系卑属」という。「縦の血縁関係のうち、目下の者」という意味だ。

 第2順位は、亡くなった人の「父母」や「祖父母」にさかのぼる。これを「直系尊属」という。「縦の血縁関係のうち、目上の者」という意味だ。

 第3順位は、亡くなった人の「兄弟姉妹」や「おい・めい」が該当する。これを「傍系血族」という。「別の系統の血族」といったニュアンスだ。

「第1順位」がいない場合に限り「第2順位」、さらに「第3順位」へと繰り下がっていく。つまり法定相続人は、「配偶者+最も順位の高い者たち」となる。上図で例えると、亡くなった人(父)に配偶者と子供がいれば、法定相続人は、「母と子供たち」である。

 仮に子供が親より先に亡くなっていたとすると、初めて優先順位が「先に亡くなった子の子(孫)」へと移る。これを「代襲相続」と呼ぶ。例えば、母、長男の子(長男が亡くなっていた場合)、長女という組み合わせだ。

 では、子供も孫たちもいない場合(直系卑属がいない場合)はどうなるか。そのときは、祖父や祖母たち、つまり、第2順位の「直系尊属」へと、その範囲が移る。さらに、すでに祖父や祖母もいない場合は、おじやおばたち、つまり第3順位の「傍系血族」へと、その範囲が移る。