家族を困らせない相続第13回
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1980年以来、ほとんど見直しがなされなかった相続法が、2018年7月、約40年ぶりに大きく改正された。改正相続法の狙いは何か――。そして、知らないと危ない“落とし穴“とは? それらを知れば、今の相続にまつわる問題が浮き彫りになる。2020年1月5日(日)まで全18回でお届けする特集「家族を困らせない相続」の第13回では、改正相続法の狙いを解説する。(監修/弓家田良彦〈税理士法人弓家田・富山事務所代表社員〉)

「週刊ダイヤモンド」2019年8月10日・17日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

40年ぶりに
相続法が大改正

「もし自分が死んだら、なけなしの財産を巡って争いが起きるのではないかと不安でした。でも、これからは少し安心できそうです」

 そう安堵の表情を浮かべる都内の会社員、高橋邦彦さん(仮名・59歳)は、30代のときに離婚を経験、程なく今の妻(後妻)と再婚した。後妻とは子宝に恵まれなかったものの、自宅マンションで夫婦仲良く二人暮らしを続けている。

 そんな日々の中、頭をよぎるのは後妻よりも先に寿命が尽きるだろう自分の死後のトラブルだ。問題は、先妻との間に子供が1人いること。先妻とはけんかの末に離婚し、養育費は最後まで払い続けたものの、子供と再会することはなかったという。

「もちろん子供のことを思わない日はありません。ですが、子供の方は自分に良い感情は抱いていないだろうし、自宅をはじめとする財産は今の妻と築いたもの。自分の死後、今の妻と先妻との子供の間で争いが起き、妻の老後の生活費や家を失うようなことになれば、死んでも死に切れない」。悩める高橋さんに光明をもたらしたのが、2018年7月に、およそ40年ぶりに大改正された相続法だ。