キッコーマン最強同族経営#4Photo:ugurhan/gettyimages、Kung_Mangkorn/gettyimages

キッコーマンの営業利益の7割超を稼ぎ出すのが、海外事業だ。国内食品事業の営業利益率6%に対し、海外食品事業は同20%と超高収益体質を実現している。特集『キッコーマン 最強“同族経営”の錬金術』(全5回)の#4では、同業他社がひそかに参考にする海外で稼ぐ秘訣に迫った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

海外で営業利益の7割超を稼ぎ出す
食品事業と卸事業の両輪

「海外事業で目指す企業はキッコーマンだ」――。ある大手食品メーカー幹部は、ひそかにこう打ち明ける。

 キッコーマンの海外事業が破竹の快進撃を続けている。売上高に占める海外事業の割合は6割、営業利益では同7割超に達している(2018年度決算)。成長は著しく、09年度から18年度の売上高の年平均成長率は6.9%となっている。

 キッコーマンの海外事業は次の2本柱を中心に構成されている。一つが世界中でしょうゆなど自社製品の製造販売を手掛ける海外食品事業。もう一つが、その販路を生かし、他の食品メーカーの商品を現地の小売店や日本食レストランに供給する、いわば“日本食品の専門商社”のような役割を果たす海外卸事業だ。

 驚くべきは、国内食品事業の営業利益率が6%、海外卸事業が同5%なのに対し、海外食品事業は同20%にも達していることだ。海外食品事業は、キッコーマン全体の営業利益の約5割を生み出す稼ぎ頭なのだ。

 なぜここまで海外で高収益体制を築き上げることができたのか。