三菱陥落#4

三菱商事やトヨタ自動車が、スマートシティなど新規事業のパートナーにしたいと秋波を送っている企業がある。NTTグループだ。特集『三菱陥落』(全10回)の#4では、かつては“お役所組織”の代表格だったNTTグループに提携依頼が殺到している理由に迫った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

「内弁慶」代表からグローバルへ
ラスベガスの成功例が突破口

「なぜいまNTT(日本電信電話)グループと組むのか?」

 昨年12月、三菱商事がデジタル領域でNTTと提携することが明らかになると、三菱商事社内から疑問の声が上がった。

 両社には公益性の高いビジネスを得意とする共通点があるので意外に思えるが、それまで三菱商事にとって、NTTはさほど親密なビジネスパートナーではなかった。

 また、NTTの海外売上高の構成比は2割弱と低く、“内弁慶”企業であるという印象は拭えない。

 しかし、である。三菱商事だけではなく日本の製造業のリーディングカンパニーであるトヨタ自動車までもが、次世代の事業モデル構築のパートナーとしてNTTを選んでいる。

 にわかにNTTに「モテ期」が到来しているのは、デジタル時代のビジネスに不可欠な能力を持っているからというシンプルな理由に尽きる。

 実はNTTは、米グーグルなど大手IT企業ですら苦戦しているスマートシティ事業の“スタートダッシュ”に成功している。突破口を切り開くことができた要因をひもとくと、NTTがデジタル時代のパートナーとして選ばれる理由が浮き彫りになる。