総予測#36Photo by Koyo Yamamoto

20年10月に行われた酒税改正。ビールの酒税が引き下げられることで、販売価格が下がるため、“ビール離れ”を食い止めたいメーカーにとって朗報だった。だが、ふたを開けてみれば明るい結果とは言えない。特集『総予測2021』(全79回)の#36では、ビール業界の21年の展望をお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

ビール値下げ、新ジャンル値上げ
酒税改正の効果は期待外れ?

「一定の効果はあったが、コロナ禍を吹き飛ばすほどではない」。こうした閉塞感を抱く業界関係者は少なくない――。

 2020年、酒類業界にとっての“ビッグイベント”だった10月の酒税改正。これまでビールに、350ミリリットル当たり77円かけられていた酒税が、7円引き下げられ70円となった。

 反対に、ビールより安価な新ジャンル(第三のビール)は、28円から37.8円と増税された。

 店頭での価格差が縮まったことで、ビールメーカー各社は新ジャンルからビールへの需要シフトが起きることを期待していた。だが、ふたを開けてみれば、明るい結果とはならなかった。どういうことか。