総予測#37Photo by Kazutoshi Sumitomo

菅義偉首相と頻繁に面会している新浪剛史社長。実際には、どのような意見交換をしているのか。また、米国大統領がバイデン氏に代わり、世界はどう変貌するのか。2021年の世界経済と日本経済の行方を聞いた。特集『総予測2021』(全79回)の#37では、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が21年を大胆予測する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

――米国大統領がドナルド・トランプ氏からジョー・バイデン氏に代わります。

 米国の同盟国や国際機関に対するコミットメントが戻ってくる。これは、民主国家にとっては安心材料です。良い意味でも悪い意味でも破壊してきたトランプ氏に比べたら、世界はコミュニケーションが取りやすくなり、経済発展という意味ではやりやすくなる。

 どの国においても、やはり経済の発展を邪魔するのは「不安定要因」。だから不安定要因、つまりトランプ氏が何をするか分からない状況から、ある程度、予測できる世界に変わっていくだろうと思いますね。

 日本、EU(欧州連合)、北米が連帯することにより、民主国家による世界の安定につながり、中国に対する相当なけん制になります。

 現在、ある意味では中国が世界を席巻しています。自分たちに異を唱えない国々を次々に仲間にして、“中国流”の世界が出来上がっていくのです。

 しかし、その事実はわれわれのような民主主義を是とする国々にとっては脅威。その脅威に不安を抱いていましたが、バイデン氏が大統領になることで、バランスが取れる体制が可能となるのです。

――そこでの菅首相の役割は。

 東シナ海の安定、東南アジア諸国との連携。それが日本に託されたポジショニングなので、(責任は)重いです。アジアは成長する所ですから、成長をしっかりとさせて、日本も恩恵を受け、世界経済も恩恵を受ける仕組みを作っていく。

 その点で、米国から菅首相に対する期待が大きいのです。米国も日本も共に新しいリーダーということで、コミュニケーションを図ることが非常にしやすいでしょう。トランプ氏が残っていたら、少しやりづらかったでしょうからね。

――菅首相には、どういった経済政策を望みますか。