6月22日午後、新型コロナウイルスワクチンに関する東京都主催の会議で発言する東京都知事の小池百合子。この日の夜、過度の疲労で静養することが発表され、小池は都内の病院に入院した6月22日午後、新型コロナウイルスワクチンに関する東京都主催の会議で発言する東京都知事の小池百合子。この日の夜、過度の疲労で静養することが発表され、小池は都内の病院に入院した Photo:JIJI

「主役」が何の前触れもなく表舞台から姿を消した。東京都知事の小池百合子のことだ。6月22日夜、東京都庁の発表が行われた。「小池知事は過度の疲労で静養が必要になった。今週の公務を離れる」。

 小池はその夜のうちに都内の病院に入院した。小池が疲労困憊だったことは間違いないだろう。7月23日に開会式が迫る東京五輪の主催都市のリーダーであり、「コロナと五輪」の二つの大きな重荷を背負って孤軍奮闘してきた。22日は午後3時すぎに都庁内でワクチン関連の会合に出席している。

「すみません、声がかれていまして恐縮です」

 コロナ対策も五輪対応も1人で仕切らなければならない小池に対する同情論は自民党内にもある。

「圧倒的なマンパワーを有する政府に比べて総合力では大きな差がある。小池さんは気の毒だ」

 さらに小池には政治家としての顔がある。4年に1度の東京都議会議員選挙への対応だ。都議選は25日に告示された。投開票日は7月4日の短期決戦。小池はこの都議選でも苦渋の選択を迫られていた。その直前での入院でもあった。

 因縁は4年前の都議選にさかのぼる。小池は地域政党の「都民ファーストの会」を率いていきなり49議席を獲得、都議会第1党の足場を築いた。この都民ファ躍進の直撃を受けたのが自民党だった。過去最低の23議席の大惨敗。都議会野党に転落した。ところが、この選挙で国政では与党の一角を占める公明党が都民ファと共闘して都議会では与党入りした。