廃業急増!倒産危険度ランキング#18Photo:cnythzl/gettyimages

コロナ禍で市場環境が激変した13業界について、それぞれ倒産危険度ランキングを作成した。特集『廃業急増!倒産危険度ランキング2021』(全23回)の#18では、半導体・電子部品業界を取り上げる。11社が“危険水域”に入り、あの「日の丸」会社が1位になった。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之、山本興陽)

21年の半導体市場は25%成長
半導体不足は各産業へと波及

 2021年の世界半導体市場は過去最高の5509億ドルに――。

 世界半導体市場統計(WSTS)は8月16日、21年の半導体市場の成長率について、6月に発表した前年比19.7%増の予測から、同25.1%増へと上方修正した。

 21年上半期の実績が好調だったことを踏まえたもので、特にアジア・太平洋地域は同27.2%増と成長のけん引役に。米国大陸は同21.5%増、日本は同17.7%増と世界各地で2桁パーセントの伸びになる見通しだ。

 好調は当面続く見通しで、22年の半導体市場予測についてもWSTSは6064億ドルへと上方修正。コロナ禍による不況を感じさせない“勝ち組”業界になっている。

 今や自動車やゲーム機、パソコンなどあらゆる製品に欠かせない半導体。高まる世界的な需要に供給体制は追い付いておらず、23年ごろまで半導体不足は続くという見方も出始めた。

 国内自動車最大手のトヨタ自動車は8月19日、半導体不足などを理由に、9月の世界生産を4割減らすと発表。半導体の生産能力はそう簡単には増えないため、業界の垣根を越えて半導体を奪い合う構図は当面続きそうだ。

 各方面に影響がある中で、“人命”に関わりそうなのが、酸素濃縮装置の生産だ。

 国内の新型コロナウイルスの感染者数は増加の一途をたどり、病床は逼迫。多くの人々が自宅療養を余儀なくされている。酸素濃縮装置は自宅療養時など、呼吸困難になった際に用いられるものだが、これが半導体不足の影響で生産中止に追い込まれている。

 酸素濃縮装置の製造大手フクダ電子では、春ごろから半導体不足の影響が出始め、現在も一部機種で製造を停止せざるを得なくなっているという。半導体不足は命にも関わる大問題になり得るのだ。

 バブルのような活況を呈している半導体業界。ダイヤモンド編集部が半導体・電子部品について倒産危険度ランキングを作成したところ、11社が“危険水域”に入った。

 業界が好調の中で、経営の苦境が浮き彫りになったところはどこか。ランクインした企業の顔触れを見ていこう。