株主総会で提案した買収防衛策が否決されたカプコン。背景には外国人株主の増加が影響している。スマホゲームの遅れが課題となる中、「物言う株主」に実績を見せる必要がある。

 9月18~21日に開催された東京ゲームショウ。出展社数は過去最高の421社、来場者数も25万人を超えるなど、国内外から大勢の人が詰め掛けた。

 中でもカプコンのブースは10月に発売予定の大人気ゲーム「モンスターハンター」の最新作が体験できるとあって、大にぎわいとなっていた。

 だが、そのわずか3カ月前、カプコンでは“異例の事態”ともいえる別の騒ぎが起きていた。6月の株主総会において、会社側が提案した「買収防衛策の継続」に関する議案が、反対票52%により否決されたのだ。

 カプコンの買収防衛策の主な内容は、(1)買収者の持ち株比率が20%以上となるような大規模買い付けがあった場合に会社側は60日間の検討期間を設ける、(2)敵対的買収と判断した場合の対抗措置として、既存株主に新株予約権を割り当てるというものだ。

 カプコンは世界のゲーム市場でも先駆けて、自社コンテンツをマルチ展開してきた。「ストリートファイター」「バイオハザード」などの複数の人気タイトルを保有し、さまざまなゲーム機にソフトを供給。そのキャラクターを使ったハリウッド映画やアニメ、グッズ販売なども積極展開し、営業利益率2桁の原動力となっている。

 そうした自社コンテンツの価値は財務諸表に載らない簿外資産であり、小田民雄副社長兼CFO(最高財務責任者)は「時価総額は約1200億円だが、企業価値はもっと高い」と言う。ここに目を付けて敵対的買収が仕掛けられる可能性があるために、買収防衛策は必要だと訴えたのだ。