高3までの数学必修化と進学先の変化
――文系・理系の比率はいかがですか。
宮阪 6クラス中、2クラス半から3クラスが理系です。現在は大学入試制度に合わせてこのような形をとっていますが、いずれは、理系・文系という区分けをなくしたいと思っています。
――分けたくないというのは、生徒の皆さんに理系教科も学ばせるということですか。
宮阪 大学に行くと専門性が強くなります。中高だけではないでしょうか、物事を考える時に必要な基礎学力を理系、文系に関係なく純粋に身に付けることができるのは。
物事を考える時に、理系の考え方、文系の考え方というのは違うのではないかと思います。ですから、文系の生徒も高3まで全員が数学を勉強します。理科も社会も勉強します。結果として進路選択の幅は広がります。
――数学は、高3まで必修ということですね。
宮阪 そうです。10年ほど前からそのようにしています。それが、とても大きかったと思います。中学入試で算数の力を持った生徒が入ってくるようになり、数学の指導にも力が入るようになりました。生徒たちには、「人生において使える数学」のような気持ちで取り組んでもらっています。
最近、数学と理科など融合授業に力を入れています。英語と家庭科では、英文レシピを渡して、実際に調理していました。英文の読解によって、全然違うものができあがるのが面白かったです。こうした融合授業によって、実生活と数学の関係に気付く生徒も増えていると思います。
――教科以外でも力を入れていることはありますか。
宮阪 哲学対話に力を入れています。「平等ってなんだろう」「平和とは」などのテーマで、みんなで話し合います。自分が思ったことを言っていい。人の言ったことを否定するような発言をしない。そのようなルールでここ数年、総合学習の時間や宿泊研修で、かなり時間をかけて答えがない問いに生徒が取り組んでいます。
一度、高1生の宿泊研修を見に行ったことがあります。10人ほどの生徒が輪になって、真ん中にお菓子が山盛りに積んでありました(笑)。教員はファシリテーターではなく、1人の参加者として一緒に座っています。夜中の2時になってもまだ続いていました。
抽象的なことを言葉にするのは難しいものですが、こういう対話を通して、知らず知らずのうちにメタ認知力も向上していくと思います。