
真壁昭夫
第131回
6月下旬、中国政府が発表した「人民元レートの弾力化」は、市場の期待に本格的に応える内容ではなかった。これだけ圧力が増しているにもかかわらず、中国が大胆な切り上げに踏み切れない背景には、無理からぬ経済事情がある。

第130回
富士通と東芝が、携帯電話事業の統合を発表した。それはあたかも、ガラパゴス化からの脱却が急務となっている日本の携帯市場に、「大再編時代」が到来することを暗示しているようだ。

第129回
ギリシャに続くハンガリーの信用不安の影響により、ユーロの信任が著しく低下している。もともと構造的な欠落を抱えたユーロは、近い将来消滅に向かう可能性さえある。為替・金融政策において、EUがとるべき道とは?

第128回
ここにきて、インド経済が劇的な復活を見せている。1-3月期のGDP伸び率は8.6%と、中国に引けを取らない勢いだ。自動車販売台数でも直近で中国を抜いている。絶好調のインド経済に、死角はないのだろうか?

第127回
米アップル社の多機能携帯端末「iPad」が、いよいよ上陸した。IT分野で欧米企業に対して「周回遅れ」になった日本企業にとっては、「Windows 95」以来の黒船となりそうだ。彼らはなぜアップルに勝てないのか?

第126回
2010年3月期の決算発表では、業績の「V字回復」を果たす企業が続出した。日本はいよいよ不況から抜け打すメドが立ったのか? しかし、手放しには喜べない不安要因が、まだまだたくさんある。

第125回
ギリシャ・ショックで大混乱に陥った世界の金融市場は、現在落ち着きを取り戻しつつある。だが、油断は禁物だ。欧州主要国やIMFが行なった緊急措置は、根本的な問題の解決につながっていない。

第124回
次世代の有力家電製品「3Dテレビ」の覇者を占う頂上決戦が始まった。ここにきて、日本企業が薄型テレビへの大投資を計画しているのだ。果たして、韓国勢に牛耳られた市場でシェアを奪い返せるのか?

第123回
米国のSEC(米国証券取引委員会)が、サブプライム関連の金融派生商品であるCDO(債務担保証券)の販売に関連して、ゴールドマン・サックスを訴追した。金融業界の激震は、「100年に一度の危機」の清算につながるのだろううか?

第122回
ポータルサイト大手「ライブドア」が、韓国インターネット企業のNHNに売却されることになった。これは、隆盛を誇った日本のIT企業が、かつてのエネルギーを失ったことを象徴している。日本のベンチャースピリットは復活するのか?

第121回
経済指標の好転や株価の復調に伴い、米国経済の「本格回復説」が1年ぶりの盛り上がりを見せている。だが、依然楽観視できない要素は多い。浮かんでは消える「米国復活」の真偽を、改めて探ってみよう。

第120回
デフレによる安売り圧力に悩む日本企業に、再び本格化しつつある資源価格の高騰が追い討ちをかけている。企業が「デフレとインフレの板挟み」という前代未聞の苦境を生き延びる術はあるのか?

第119回
米マイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツ氏が、日本の東芝と組んで次世代原発プロジェクトに着手するという。大不況後にインフラの担い手が官から民へと移行するトレンドが顕著だが、それはリスクも孕んでいる。

第118回
日銀が発表した追加金融緩和策を、「民主党政権との馴れ合い」と疑問視する声が広がっている。いくら市井に資金を流入させても、デフレギャップを解消しない限り大きな効果は望めない。その誤解は想像以上に深刻だ。

第117回
冬季五輪の女子フィギュアスケートで、キム・ヨナ選手が浅田真央選手を破ったこともあり、世間には「韓国脅威論」が広まっている。産業界でも、サムスンが日本企業を凌駕しつつある。日本はもう韓国に勝てないのか?

第116回
財政破綻懸念に揺れるギリシャ。わが民主党政権の2010年度予算も税収以上の国債発行でやりくり。規律を欠いた財政運営が続けば、ギリシャは対岸の火事でなくなる。

第115回
トヨタ自動車のリコール騒動が燃え盛るなか、最高責任者である豊田章男社長が槍玉に挙げられている。対応の稚拙さについて揶揄されるのは、「創業家一族出身」ということだ。社長の品質に本当に問題はあったのか?

第114回
米国FRBは、ついに公定歩合の引き上げを発表した。「景気を腰折れさせる」と不安視されてきた出口戦略は、市場を不安に陥れている。世界経済は、これから思わぬ「地雷原」に足を踏み込むことにもなりかねない。

第113回
市場はあまりにも楽観的過ぎる──。米国のファンドマネジャーたちは、不安を隠さない。ギリシャに加えてポルトガルやスペインでも信用不安が本格化したからだ。主要国を巻き込んだ「第二の金融危機」は起きるのか?

第112回
民主党の目玉政策だった「子ども手当」の満額支給が、いよいよ怪しくなってきた。政府与党内からも「無理」の声が上がり始めている。民主党の“誇大広告政治”への疑念は、いよいよ新たなフェーズへ移り始めた。
