真壁昭夫
第166回
原油や穀物の価格が急上昇し、世界経済への影響が懸念されている。この状況は、産出国の「資源囲い込み」に世界的な政情不安が拍車をかけたとする定説だけでは、説明がつかない。背景には世界的な「パラダイムシフト」がある。

第165回
アラブ諸国の政治不安は、原油をはじめとする資源価格の高騰を招いている。タイミングが悪いことに、足もとでは欧州のソブリンリスクも顕在化している。世界の金融市場には、信用収縮の悪夢が再来するかもしれない。

第164回
エジプトのムバラク政権を崩壊させた市民革命の熱は、方々に飛び火している。奇しくもそれは、「間接民主主義」の限界を露呈した。今後、次世代技術を使った21世紀型の「直接民主主義」は、世界に根付いていくだろうか?

第163回
グローバル競争が激化し、戦略的な企業再編の重要性が増すなか、日本ではまだ欧米的なM&Aに抵抗感を持つ企業が多い。今回新日鉄・住金の合併話は、そんな日本の産業界に新たな意識を芽生えさせる可能性がある。

第162回
相次ぐアラブ諸国の政変が飛び火し、エジプトではムバラク政権に対する大規模なデモが起きている。新・新興国として重視される同地域の不安定化は、世界経済の行方に想像以上の衝撃をもたらす可能性が高い。

第161回
新生GMが“復活”をアピールしている。新興市場戦略が効を奏して、2010年の新車販売台数は世界首位のトヨタに肉薄する勢いだ。日本メーカーを脅かす「自動車戦国時代」が、新興市場を中心に再び幕を開けようとしている。

第160回
経済財政担当大臣として、菅政権へのサプライズ入閣を果たした与謝野馨氏に、民主党内外から批判が集まっている。与謝野氏が胸に秘める「政治家の美学」は、「鞍替え批判」を吹き飛ばし、日本再生への布石を打つことができるだろうか?

第159回
児童養護施設の子どもたちへ匿名でランドセルなどの寄付を行なう「タイガーマスク運動」が、全国で盛り上がっている。この社会現象の背景には、単なる慈善心や自己満足に留まらない、現代人の心理が見え隠れする。

第158回
日本企業にとって“グローバル化”は、もはや避けて通れない道だ。しかし、英語の社内公用語化や留学生の採用などがますます進めば、日本の若者の雇用機会が減少する可能性もある。このトレンドに、日本はどう対処すべきか?

第157回
米国経済の失速や欧州のソブリン・リスクなど、世界経済はいまだにリーマンショックの呪縛から抜け切れていない。2011年、正念場を迎えた世界経済に「復活のキーワード」はあるのか? 徹底検証してみよう。

第156回
菅総理は、法人税の実効税率を5%引き下げることを決定した。税負担が減れば、日本企業が雇用や投資を拡大するため、日本経済にとって追い風になると目されている。しかし、結果的に国民の暮らし向きはよくなるだろうか?

第155回
ウィキリークス騒動は、国家の極秘情報さえ白日の下に晒すインターネットの脅威を、改めて世に知らしめた。しかし、これは序の口に過ぎない。核の代わりに情報が使われる「21世紀型サイバー戦争」が、現実のものになろうとしている。

第154回
政策運営に行き詰まっている菅内閣の支持率が、世論調査で危険水域に突入した。とはいえ、そもそも民主党に政権を与えたのは有権者である。また他党や第三党に政権を委ねたところで、根本的な問題は解決するのだろうか。

第153回
北朝鮮が韓国領を砲撃する暴挙に出た。経済的にこれほど窮している国が、なぜ常識を逸脱した行動に出られるのか? その背景には、「軍事バランスの十字路」で絶妙なバランスを保つ“金王朝”の思惑がある。

第152回
米国が進める大規模な量的緩和策に対して、国内外から厳しい批判が噴出している。すでに、世界経済を失速させるインフレの兆候が顕著になっており、追い込まれたFRBの舵取りに世界経済の命運がかかっている状況だ。

第151回
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加につい賛否が分かれるなか、民主党政権は農業分野を含めた原則関税撤廃を目指す協議開始を決めた。しかし真の問題は、TPPというよりも日本の農業政策そのもの機能不全ぶりだ。

第150回
11月初旬、米国のFOMCは大量の米国債を購入する追加金融緩和策を決定した。これは巡り巡って、米国自身の景気を失速させ、さらに日本をはじめとする世界経済に看過できない打撃を与えるリスクをはらんでいる。

第149回
現在の世界経済は、インフレを輸出する米国とデフレを輸出する中国が織り成す「微妙なバランス」の上に成り立っている。予想外の事態の発生によってこのバランスが崩れると、世界は深刻なインパクトを被りかねない。

第148回
日中間の尖閣問題を発端に、「中国リスク」が世界規模で顕在化している。習近平氏が実質的な次期リーダーに決まり、新たな局面を迎えた中国では、自国中心主義を貫く「中華思想」にいずれかの時点で終止符を打たなければならない。

第147回
今年のノーベル平和賞が、収監中の人権活動家・劉暁波氏に贈られたことに中国政府が猛反発している。授与の背景にあるのは、単なる人権問題への警鐘に留まらない。先進国を中心とする世界的な政治力学が働いた結果と言えそうだ。
