
真壁昭夫
第151回
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加につい賛否が分かれるなか、民主党政権は農業分野を含めた原則関税撤廃を目指す協議開始を決めた。しかし真の問題は、TPPというよりも日本の農業政策そのもの機能不全ぶりだ。

第150回
11月初旬、米国のFOMCは大量の米国債を購入する追加金融緩和策を決定した。これは巡り巡って、米国自身の景気を失速させ、さらに日本をはじめとする世界経済に看過できない打撃を与えるリスクをはらんでいる。

第149回
現在の世界経済は、インフレを輸出する米国とデフレを輸出する中国が織り成す「微妙なバランス」の上に成り立っている。予想外の事態の発生によってこのバランスが崩れると、世界は深刻なインパクトを被りかねない。

第148回
日中間の尖閣問題を発端に、「中国リスク」が世界規模で顕在化している。習近平氏が実質的な次期リーダーに決まり、新たな局面を迎えた中国では、自国中心主義を貫く「中華思想」にいずれかの時点で終止符を打たなければならない。

第147回
今年のノーベル平和賞が、収監中の人権活動家・劉暁波氏に贈られたことに中国政府が猛反発している。授与の背景にあるのは、単なる人権問題への警鐘に留まらない。先進国を中心とする世界的な政治力学が働いた結果と言えそうだ。

第146回
先日の金融政策決定会合で、日銀は実質的なゼロ金利政策となる量的緩和やリスク資産の買い入れなどを発表した。この「満額回答」により、日銀は手持ちのカードを使い果たした。まさに金融緩和競争の犠牲である。

第145回
日中間における尖閣問題の最中に突如持ち上がったレアアースの禁輸措置に、日本政府は翻弄された。よくよく考えると、この禁輸措置は決して中国自身のためにもならない。騒動の背景にあった“盲点”を改めて分析しよう。

第144回
先日、米国のFOMCが追加金融緩和を示唆する声明を出したため、さらなるドル売り円買い不安が募っている。実は、新興国も為替介入を加速しているため、市場は「世界為替戦争」の様相を呈し始めた。日本に対処法はあるのか?

第143回
菅直人首相が民主党の代表選に勝利し、続投を決めた。しかし、安心してばかりはいられない。今の菅政権のノウハウや政策スピードでは、日本経済の危機的な状況を救えないからだ。今こそ菅政権に求められる決意とは?

第142回
日本振興銀行の破綻に際して、政策当局は初の「ペイオフ発動」を発表した。同行の特殊性から、公的資金注入では国民の反発を避けられないと判断したからだろう。しかし、それがもたらす影響については責任がうやむやにされている。

第141回
留まることを知らない円高・株安により、日本経済の先行きには暗雲が漂っている。政府・日銀はようやく対策を打ち出したが、市場へのインパクトは限定的のようだ。市場関係者からは、金融市場場の「長期低迷観測」が噴出している。

第140回
かつてない円高、株安傾向が続くなか、ただでさえ高税率・高人件費に喘いでいる日本企業は、いよいよ海外へ出て行くしか生き残る道がなくなる。しかし、対応策を求められている政策当局は、権力闘争に明け暮れるばかりだ。

第139回
日本はこの4-6月期、ドル換算のGDPでついに中国に抜かれてしまった。かつて「ジャパン・アズ・ナンバー1」と呼ばれた日本の国際的地位は、米国、中国の後塵を拝し、さらに続落していく可能性がある。

第138回
ドルに対する円の急伸は、もはや看過できないレッドゾーンに入った。欧米に加えて中国経済も減速するようだと、年末年始にかけて、円は1ドル=79円75銭の史上最高値を更新する可能性が高い。

第137回
当局の規制により、中国で不動産市場の伸びが急速に鈍化している。これを「不動産バブル崩壊の始まり」と見る向きも多い。果たして、それは本当か? 巷説の「裏」をリサーチしてみよう。

第136回
欧州の金融機関を対象にした健全性審査(ストレステスト)の結果に、金融市場は拍子抜けした。しかし、この玉虫色の審査結果は、「嵐の前の静けさ」に過ぎないことを心得ておくべきだ。

第135回
「iPhone4」の不具合騒動では、アップルのスティーブ・ジョブズCEOの責任を問う声も少なくなかった。今回の騒動を機に、改めて注目を浴びるカリスマ経営者ジョブズ氏の光と影を分析しよう。

第134回
参院選で大敗した民主党は、苦しい政権運営を余儀なくされるだろう。今後政府の経済政策は、野党の顔色をうかがう中身の薄いものになる可能性が高い。企業はもう、政治に頼って発展することを考えないほうがよい。

第133回
欧米のバブル後始末に加えて、世界経済を牽引していた中国も不動バブル抑制に動き出した。両方の不透明要因が重なり合うと、世界経済の先行きに黄色信号が灯ることになる。

第132回
中国に進出する日系企業は、労働争議の増加による賃上げの検討や、市場開拓を睨んだ現地人のトップ起用を進めている。その背景には、「ルイスの転換点」をはじめとする経済構造の変化がある。
