真壁昭夫
第106回
2010年の日本経済は、予断を許さない状況が続く。経済対策の効果や、新興国向け輸出の伸びなど、希望は確かにある。だが、円高や米国経済の腰折れリスクは依然として大きい。暗黒に差し込む「光明」はあるのか?

第105回
企業の増資ラッシュが続くなか、増資に失敗して金融機関になだれ込む企業が急増している。ダイリューション懸念どころではない。「経営力の充実」を念頭に置かない増資は、「資金繰り恐慌」さえ招きかねない。

第104回
ドバイショックに襲われた後の為替市場では小康状態が続いており、「ドル安・円急上昇」の動きはやや後退している。だが、油断は禁物だ。現在の為替市場には、円高を抑制できないメカニズムが働いているからだ。

第103回
政府与党が行なった「事業仕分け」の実況中継が、多くの国民の関心を集めた。だがその実態は、財務省主導の「劇場型パフォーマンス」に過ぎない。民主党に求められているのは、もっと根本的な経済対策ではないか。

第102回
金価格の上昇が止まらず、史上最高値圏で推移している。この動きは、原油・非鉄金属などの資源全般に広がる可能性もある。今後米ドル安が続き、「資源大高騰時代」が到来すれば、日本が受ける影響は計り知れない。

第101回
「二番底不安」もどこへやら、失業率が高止まりして出口政策のメドも立たない米国で、景気の先行きを楽観視する市場関係者が増えている。バブルをもってバブルを制する危うい「バブル・リレー」が復活し始めたのか。

第100回
民主党政権による郵政民営化の見直し案が、物議を醸している。紛糾した挙句、本来論じるべき“費用対効果”の議論が置き去りにされている。本来、郵政民営化にはどんな意味があったのか? その是非を改めて問う。

第99回
国債を50兆円も発行して、民主党政権は大丈夫だろうか――。多くの国民が不安視していることだろう。マニフェストに逆行する政策は仕方がない側面もあるとはいえ、彼らは「バランス感覚政策」を肝に銘じるべきだ。

第98回
世界同時不況を経て、先進国と新興国の間には、天国と地獄ほどの経済格差が出現した。世界経済はもはや「新興国頼み」だ。だが新興諸国は、“共倒れ”という最悪のシナリオを現実にしかねない不安も内包している。

第97回
今、世界地図が大きく変わろうとしている。欧州が1つの連邦国家=「ユナイテッド・ステーツ・オブ・ヨーロッパ」へと変貌しようとしているからだ。10月初旬に行なわれたアイルランドの国民投票で、EU憲法ともいえるリスボン条約が過半数の賛成を得た。これで、残されたハードルはチェコとポーランドの2ヵ国だけとなった。

第96回
円高ドル安が近年に例がないほど加速している。米国景気の後退不安に藤井財務相の「円高容認発言」が拍車をかけたためだ。だが、これは一過性の現象と言い切れない。中長期的に見ても、ドルの弱含みは続くからだ。

第95回
地価の下落が続くものの、一部では復活の兆しも見え始めた不動産市場。だが、“まだら模様”の市場が本格回復を始めるまでには、まだ時間がかかる。不動産の本当の価値を決めるのは、「理論値」ではないからだ。

第94回
世界的な大不況を経て、世界最大の成長国に躍り出た中国には、日系企業が殺到している。彼らの多くは、すでに顕著な「中国依存症」に陥っている。しかし中国には、チャンスと同時に想像以上のリスクも転がっている。

第93回
民主党政権が発足すると、景気が再び悪化するのではないか――。現在巷には、こんな不安が広まっている。不安の焦点は、「バラ撒き」とも揶揄される景気対策だ。民主党は、本当に景気の「二番底」を招くのだろうか。

第92回
環境に適応できずに滅んだ恐竜のように、不況下で喘ぐ先進国企業を尻目に、躍進目覚しいのが韓国企業だ。最近までバブル崩壊に悩んでいた彼らは、いったいどんな「突破力」を身につけたのか?

第91回
日本、米国、欧州諸国では、軒並み景気の「早期回復期待」が高まっている。だが、現在の一時的な回復基調は、「雇用なき景気回復」に過ぎない。カネを使って需要を創出しているだけでは、いつか破綻がやって来る。

第90回
最近、マイクロソフト、グーグル、ヤフーといった「IT業界の巨人たち」の動きが加速している。クラウド時代の勝者を目指し、なりふり構わずお互いの得意分野に乗り込む「仁義なき戦い」の明と暗を斬る。

第89回
ここに来て、主要企業の業績が軒並み改善傾向に転じており、市場はそれを好感している。だが、手放しで喜んでばかりもいられない。「真の業績回復までには程遠い」と言わざるを得ない多くの不安要因があるからだ。

第88回
7月下旬、米国と中国による「米中戦略・経済対話」が初めて開催された。それは、事実上の「G2会議」の様相を呈していると囁かれている。では、過去に例を見ない米中の急接近は、日本にどのような影響を与えるのか?

第87回
キリンとサントリー、NECエレクトロニクスとルネサス・テクノロジーなど、大企業同士の経営統合が相次いで発表されている。「強い企業」の登場は経済の“光”となるが、その反面、“影”の部分も見過ごせない。
