井手ゆきえ
第380回
急性虫垂炎の治療は手術か薬か、外科医が選ぶのは?
ひと昔前は「盲腸炎」と呼ばれていた急性虫垂炎。大腸からちょこっと突起している虫垂が炎症を起こし、腸内の「悪玉菌」による二次感染が生じる。「切るべきか切らざるべきか」。外科手術のリスクは怖いが、抗菌薬治療は再発リスクがある。

第379回
花粉症シーズン始まる、今年の飛散量予想が情報源によって真逆な理由
昨秋、まったく異なる花粉飛散量予想をたて話題になった「日本気象協会vsウェザーニューズ」を覚えているだろうか。簡単にまとめると、日本気象協会の予報は「前シーズンより飛散量が多い」、一方ウェザーニューズの予報は「飛散量は前年より少ない」だ。

第378回
「平熱が高い」と1年以内の死亡リスク上昇!?英医学誌より
一番身近な健康のバロメーター「体温」。少しでも37度を超えると「熱がある!!」と騒ぐ男性は多く、インフルエンザや風邪の症状を大げさに訴えたがる男性をやゆする「man flu」という言葉があるほどだ。

インフルエンザの大流行が続いている。昨年9月からの累積患者数はすでに1100万人を超え、さらに増える勢いだ。特に今季はA型だけでなく、B型インフルエンザの立ち上がりが予想外に早く、患者増に拍車をかけている。

第377回
トマト2個で肺機能を守る、前喫煙者でも効果あり
あまり意識しないが呼吸機能も30代から衰え始める。たとえば、息を思いっ切りはき出した際の「瞬間最大風速:ピークフロー」は年齢とともに減速し、肺活量や換気能力もじわじわ低下する。中高年以降にランニングや登山などきつめの有酸素運動がしんどくなるのは、心機能の低下に加えて、肺機能の衰えが影響するからだ。

第376回
ナッツで心疾患を予防、1日30グラムのお手軽健康法
ダイエット食品として人気のナッツ。一時の流行と冷ややかな男性が多いだろう。ところが1日30グラム程度のナッツを食べていると、心筋梗塞の発症リスクがぐんと減るらしい。米ハーバード大学公衆衛生学栄養学部門の報告から。

第375回
経口薬もIoT化、センサー内蔵で「いつ飲んだか」を管理
昨年秋、米国食品医薬品局(FDA)が服用センサー内蔵の経口薬を承認した。日本でも発売されている統合失調症の治療薬「アリピプラゾール(製品名:エビリファイ)」に0.5ミリ四方のセンサーを組み込んだもの。

第374回
犬を飼う人は長生きする!「トイ」より「猟犬タイプ」がおすすめ
今年は戌年。ということで、今回のお題は「犬」です。昨年末、スウェーデン・ウプサラ大学の研究チームが「犬を飼っていると死亡リスクや心臓病リスクが減る」との調査結果を報告した。特に、一人暮らしの人で顕著にリスクが減少するようだ。

第373回
禁煙何年で発がんリスク「帳消し」に?女性11年、男性は…
喫煙が発がんリスクなのは、もはや全世界の常識。ところが、2016年の国民健康・栄養調査によると40代、50代の男性の喫煙率は約4割、女性は13%前後と、決して低くはない。次年度からたばこ税が上がりそうな気配もあり、今年こそは禁煙を、と思う人もいるだろう。

第372回
アスパラガスを食べた後のおしっこのニオイがわかる人・わからない人
英国医師会誌は毎年、クリスマス号にユーモラスな研究を掲載する。2016年の文献を紹介しよう。お題は「アスパラガス問題」である。日本人にはピンとこないが、アスパラガスを食べた後は尿の臭いが強烈な悪臭に変わるらしい。ところが、その悪臭を感じる人と感じない人がいる。

第371回
米国砂糖業界、不利な健康リスクデータを半世紀も隠蔽?
先月、生物学の専門誌に約50年前、米砂糖業界が砂糖の健康リスクに関する研究を闇に葬った、との論文が掲載された。米UCLAの研究チームが当時の米砂糖研究財団(SRF、現砂糖協会)の内部文書を調べ、明らかにしたもの。

第370回
「野菜が最初」ではなく「糖質を最後」が正解、食べ順で血糖値急上昇抑制
食べる順番ダイエット、なるものがある。食事の際に、いきなり「主食」から食べ始めず、食物繊維たっぷりの野菜から食べる、というもの。美容目的だけではなく、食後に生じる血糖値の急上昇(血糖値スパイク)を抑えるため、糖尿病予備群や2型糖尿病の患者にも“処方”される。

第369回
ストレスで男性の発がんリスク上昇、国立がんセンターの研究
あなたは普段の生活で、どの程度ストレスを感じていますか? 「少しだけ」「平均的(人並み)」「たくさん」──。国立がん研究センターの「JPHC研究」によると、精神的ストレスを「強く」感じている人は、発がんリスクが高いようだ。

第368回
慢性便秘にロダンの「考える人」ポーズが効果、米研究
高齢者の増加を背景に、今や慢性的な便秘に悩んでいる人は1000万人を超えるらしい。本邦初の「慢性便秘症診療ガイドライン」によると、便秘「症」とは「排便回数の減少による腹痛、おなかの張り、硬便による排便困難、過度の怒責──いきむこと、便排出障害で軟便でもなかなか出ない、残便感でトイレに何度も行く」などの自覚症状があり、検査や治療を必要とするもの、と定義される。

第367回
認知症と性格の関係、責任感が強い人はなりにくい!?
認知症になりにくい性格はあるのだろうか──。実はすでに性格特性のうち、「誠実さ」が予防的に働く、という研究結果が複数報告されている。さらに先日、米フロリダ州立大学の研究グループから「誠実さ」を構成する細かい要素のうち、何が最も認知症予防と関連するのかという報告があった。

第366回
対人過敏は早く老ける?遺伝子レベルに影響
ある転職サイトの調査によると、転職・退職理由の第1位は「人間関係」だそうだ。前職の経験から対人関係を過剰に意識してしまい、転職を繰り返してしまうケースも少なくないとか。しかも先日、山形大学の研究グループから、対人関係に過敏な人は細胞レベルで「老けやすい」という研究結果が報告された。

第365回
がん代替療法の選択で死亡率は最大5倍超に、米国の研究
誰でもがん治療は怖い。告知のショックから立ち直る間もなく情報の波に翻弄され、重大な決断を迫られる。この選択が自分の生命を左右するかもしれない、という恐怖に不安が募る。んなとき「がんが消えた!」「免疫でがん細胞をたたく」等の“万能感”と“わかりやすさ”が差し出されたら、どうだろう。

第364回
「手洗い」こそ感染症予防に最強!米CDC推奨の方法とは
インフルエンザに食中毒と、秋~冬にかけては感染症に注意が必要な季節。発症してから慌てるより予防に力を入れよう。感染症の予防策のうち、手軽だが最も強力なのは「手洗い」だ。外出後や食事の前には必ず手を洗いたい。幼児じゃないんだからと侮るなかれ。

第363回
認知症になっていない69~71歳は何を食べてきたか
男女とも「人生80年」が当たり前になった日本人。健康寿命を引き延ばし、いかに認知機能を維持するかは個々人の生活習慣にかかっている。そこで気になるのは認知機能を保っている高齢者の食生活だ。

第362回
もし妻が乳がんになったら、配偶者にはどんな影響があるか
今月はピンクリボン月間──乳がん啓発月間だ。日本の女性は40歳未満の若年成人と60歳未満の閉経前に発症のピークがある。乳がんは現役世代を直撃するのだ。万が一、妻が乳がんに罹患したら配偶者にどんな影響があるのだろう。
