一番身近な健康のバロメーター「体温」。少しでも37度を超えると「熱がある!!」と騒ぐ男性は多く、インフルエンザや風邪の症状を大げさに訴えたがる男性をやゆする「man flu」という言葉があるほどだ。

 ただ常に平熱が高い場合、がんの発症や肥満を助長する可能性があるらしい。先日、英国の医学専門誌「BMJオンライン版」に掲載された報告から。

 研究者グループは、2009~14年に米国の大学病院の外来を定期的に受診した18歳以上の患者、およそ3万5000人(体温の測定回数はトータル24万3506回)のデータを用い、体温計で測った体温とその他のバイタルサイン、健康指標との関連を検討。

 対象者は、ウイルスや細菌に感染しておらず、抗菌薬による治療も受けていない、体温が正常範囲にある、という条件で選ばれた。平均年齢は52.9歳、女性が6割、非白人が4割だった。また、対象者の平均体温は36.6度(35.3~37.7度の範囲)だった。

 体温とさまざまな指標との関連を検討した結果、体温は加齢とともに低下し、10歳年を取るごとに0.021度低くなることが示された。疾患との関連では、がん患者の体温は0.02度高く、またBMI(体格指数)が1増えるごとに、0.002度上昇することも分かっている。

 これだけでは数値が小さすぎて、何ら健康に影響はないように思える。しかし、年齢や人種、併存疾患などの変数を補正し、平熱と1年死亡リスクとの関連を調べたところ、体温が0.149度高くなるごとに、1年死亡リスクが8.4%増加することが示されたのだ。

 研究者らは「平熱は1年以内の死亡リスクを予想する指標になるだろう」としている。これといって思い当たる原因がないのにもかかわらず、平熱が高い人は、一度は医師に相談し、場合によっては精査する必要がありそうだ。

 女性は心身の好不調を反映する「基礎体温」に敏感だが、男性はそれこそ「man flu」でもない限り無頓着だろう。この際、男性も基礎体温を記録する習慣を身につけるといいかもしれない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)