今年は戌年。ということで、今回のお題は「犬」です。
昨年末、スウェーデン・ウプサラ大学の研究チームが「犬を飼っていると死亡リスクや心臓病リスクが減る」との調査結果を報告した。特に、一人暮らしの人で顕著にリスクが減少するようだ。
この調査は、40~80歳のおよそ340万人を12年間追跡した国の健康データと飼い犬の登録情報とを照合し、全死亡と心血管疾患死への影響を検討したもの。調査対象の13%が犬を飼っていた。
分析の結果、犬を飼っている人は、飼っていない人より死亡リスクが11%低下。特に、一人暮らしの人はリスクの減少幅が大きく、死亡リスクが33%低下することが明らかになったのだ。
しかも、死亡原因を心血管疾患に絞って解析したところ、一人暮らしの飼い主の心血管疾患死リスクは、犬を飼っていない人に比べ36%も低下していたのである。
同時に「死亡リスクを下げる犬種」も明らかになった。どうやら活動的な猟犬タイプ──レトリバーやポインター、ハウンド・グループといった犬たちがハートを守ってくれるらしい。一方、トイ・タイプではそれほどの効果は認められなかった。
研究者は、犬と健康との因果関係は明確でないものの、「犬の飼い主は、身体活動レベルが高く、犬との交流を通して心身のストレスを解消し、社会的なふれあいが増加することが知られている。このほか、犬のマイクロバイオーム(細菌叢)に触れることで、飼い主の免疫機構が活性化される可能性がある」としている。
確かに活発な猟犬タイプとの散歩は、身体活動を増やす。まして大型犬となれば毎日がエクササイズだろう。仕事外ではつきあい下手な男性陣も、オーナー同士の交流なら苦にならず、健康的な社会生活を送ることができそうだ。
日本では住宅事情から猟犬タイプは敬遠されがちで、トイ・タイプや小型犬が人気上位を占める。
犬文化が違い過ぎるヨーロッパ圏の調査結果が日本人に適当かは不明だが、今年は意識的に愛犬と運動する時間を増やしてみませんか。貴方と愛犬の健康のために。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)