2012.6.13
「自然利子率の押し上げ」と「実質政策金利の引き下げ」が欠かせない理由――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券チーフエコノミスト
追加金融緩和に向けた市場の期待を強める要素が連なっているが、追加緩和が実体経済を刺激する経路はますます細くなっている。日本の金融政策は、自然利子率と実質政策金利の逆転という本質的な問題に直面している。
野村証券金融経済研究所チーフエコノミスト
もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総合研究所入社。英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所を経て、バークレイズ証券(2008~2017年)およびクレディ・アグリコル証券(2017~2022年)にてチーフエコノミスト。2022年7月より現職。2000年米ブラウン大学より修士号(経済学)、2018年九州大学より博士号(経済学)を取得。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)、『現代金融論 新版』(有斐閣)など。
2012.6.13
追加金融緩和に向けた市場の期待を強める要素が連なっているが、追加緩和が実体経済を刺激する経路はますます細くなっている。日本の金融政策は、自然利子率と実質政策金利の逆転という本質的な問題に直面している。
2012.6.6
企業は、どんどん若い勤労世代に賃金分配をしなくなっている。若者の人数が減っているので、配分する報酬額が減っていても仕方がないと考える人は多いだろう。本当にそうなのか。筆者はその点にこそ、大きな誤解と問題が隠されていると思う。
2012.5.30
G8首脳会議では、欧州債務危機への対応について、財政の健全化と経済成長の両立を追及する方針で一致した。こうした動きからもわかるとおり、ポピュリズムと政治上の党利党略が生じる「ギリシャ化」現象が蔓延し始めている。
2012.5.16
2012年1~3月期以降、全ての四半期で日本の実質GDP成長率はG3(日・米・欧)でトップとなる可能性がある。財政抑制の欧米と財政出動の日本の間には“ずれ” があるからだ。しかし、2013年前半には「財政の崖」が訪れそうだ。
2012.5.9
5月の連休前後に、再び円高が進行している。なぜ、円高の流れはこれほど粘り強いのか。相場変動には、しばしば説明できない「アノマリー」というパターンが確認されるが、現在の円高パターンは錯覚だろうか、それとも本物だろうか。
2012.4.25
今年1-3月期は世界的に景気回復期待が生じ、株高だった。振り返れば、2009年3月にもバーナンキFRB議長の発言から、米国で「green shoot」(春の芽生え)とする株価上昇局面が生じたことがあった。今年の春はどんな局面なのか。
2012.4.11
少子化や高齢化の影響は、企業レベルでも高まっている。それは、賃金の期待成長率の低下を通じ、家計のリスク許容力を弱めている。日本の家計のホーム・バイアスは、海外の高成長を反映しにくく、低いリターンに直面しているのだ。
2012.4.4
日銀の金融政策の中で、「究極の禁じ手」とされる日銀の国債引受けについて考えてみたい。消費税増税をせずに、日銀が国債発行分を全て引き受けて、税収不足を補えばよいのではないかと言われたら、その可否をどう考えるべきか。
2012.3.28
2011年の日本から米国への債券投資は、さながら米国へ日本株購入資金を供給するようなものだった。2012年、「日本化先進国」である草食系の日本は、「日本化脱却」においても世界の先駆けとなることができるだろうか。
2012.3.14
震災から1年が経った。この間、被災地を中心に多くの難局に直面した。経済の観点に立つと、震災前に戻った指標、戻っていない指標がはっきりしつつある。動向を見ると、2012年は日本のGDP成長率がG7でトップとなる可能性もある。
2012.3.7
不況下では若者たちが保守化すると言われるが、現実はそうではない。確認できるデータでは、起業希望者の3割以上は35歳以下の若者たちなのだ。起業による雇用出効果は思いのほか大きく、労働需給を大きく改善することにつながる。
2012.2.29
日銀はバレンタインデーに、長期国債購入を行ない、物価上昇の目処を設定する姿勢を打ち出した。これらは為替市場を円安傾向へ導くきっかけの1つになった。この決断は日銀から市場への「愛のメッセージ」ともとれるが、実際、その効果は大きいだろ…
2012.2.15
内閣府は1月24日『経済財政の中期的試算』を発表したが、同試算は消費税率を10%に引き上げたとしても、その目標の実現可能性が低いことを示すものといえる。そもそも財政赤字の問題は単にその多寡にあるのではない。財政赤字を自国でファイナンス…
2012.2.8
世界の景気は底入れに向けたシグナルを発し始めている。日本の景気も、特殊要因を除いたベースで底入れ感が強まっている。果たして、2012年における景気情勢の方向感は「上」か「下」か。このへんでしっかり先行きを分析してみたい。
2012.2.1
欧州の国債は実態上は国債でなく、日本の地方債のようなものだ。それは、各国が独自の通貨発行権を持っていないからだ。しかも日本のように、信任を補強する地方交付税を中心とした財政平衡制度がない。市場はここを客観的に評価している。
2012.1.18
野田首相が社会保障と税の一体改革素案を決定したが、法案可決へのハードルは高い。しかし、赤字を拡大する年金などの社会保障基金を見ると、待ったなしの状況が浮かび上がる。今まさに「第1次高齢者ブーム」が始まろうとしているのだ。
2012.1.11
休日を増すことによって、経済活性化につながるという意見がある。これは本当か。確かに、休日が増え、レジャーが増えると、消費全体が押し上げられるという固定観念はある。だが少し詳しく分析すると、それは怪しいということがわかった。
2012.1.4
2011年は当初、どの国でも景気回復への強い期待が見られ、「出口戦略」が模索されていた。しかし、昨年1年間を振り返ると、大きく期待外れだった感が否めない。2012年も、不安が先送りされる状況が続くのだろうか。行方を占ってみよう。
2011.12.21
欧州危機、東日本大震災、そして年の瀬に流れた北朝鮮の指導者交代のニュース――。この1年は、日本にとってまさに「内憂外患」の年だった。筆者は、この状態が2012年も続くと見ている。日本が経済面で取り組むべき課題とは何か。
2011.12.14
欧州の財政危機の成り行きを見て、日本の財政は他人事だとは思えない。現在の欧州諸国の対応を見ていて、「これはまずい」ということがいくつもある。今回は、日本が再び金融危機に直面したとき、どう対処すべきかという教訓を提言したい。
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