ポピュリズムと「ギリシャ化」
5月18日、19日に米国で開催されたG8首脳会議では、焦点であった欧州債務危機への対応について、財政の健全化と経済成長の両立を追求する方針で一致した。財政緊縮一辺倒だった従来路線に対し、各国で世論の反発から政権与党が選挙で敗北し、政治的観点から路線変更を余儀なくされたと解釈される。
今後の経済的な対応には、各国固有の「社会的・政治的」側面を考える必要が生じたことを意味する。すなわち、各国の「ポピュリズム」に配慮せざるをえない状況、「ギリシャ化」の蔓延である。
ギリシャの世論調査では、依然、大半がユーロに残りたいとされるが、一方、緊縮財政には反対し、そうした動きをバックにしたポピュリズムと政治上の党利党略が生じる現象が、本論での「ギリシャ化」の定義である。
2011年の政権交代は
財政緊縮路線に向かった
次の図表1は昨年2011年のPIIGS諸国で生じた政権交代を示すもので、2011年はPIIGS諸国で国債市場での不安に引導を渡されるかのように、市場主導で政権交代が生じた。
その結果、市場へ対処すべく各国で財政の緊縮路線がとられた。多くの場合、新政権の経済政策を担うのは経済学者を中心とした実務テクノクラートであり、イタリアのモンティ首相はその典型例だった。