2021.6.23
「23年利上げ」が多数派、米FOMCの本当のメッセージ
6月FOMCで2023年中の利上げ開始予想が多数派を占めたが、利上げが進んでも最高到達点は2%台前半と予想される。FRBが政策金利のゼロ制約から十分に離れることは難しそうだ。
野村総合研究所金融ビジネスリサーチ部シニアチーフリサーチャー
1985年、日本銀行に入行。外国為替課長、国際金融為替市場担当参事役などのほか、福井俊彦総裁秘書や政策審議委員専属スタッフを務めた。08年に野村総合研究所に入社、国内外の金融市場やマクロ政策を調査するとともに、研究者や実務家らによる「金融市場パネル」を運営し、先進国を中心に金融政策や金融システム安定化策などの分析、評価をしている。61年生まれ。
2021.6.23
6月FOMCで2023年中の利上げ開始予想が多数派を占めたが、利上げが進んでも最高到達点は2%台前半と予想される。FRBが政策金利のゼロ制約から十分に離れることは難しそうだ。
2021.4.21
コロナ後、日米のインフレ率の格差が広がると予想される中で、経済政策は、円安で輸出企業の投資や収益を支えるのか、円高で内需企業や家計の実質購買力を支えることに重点を置くのか、難しい選択に直面する可能性がある。
2021.3.22
日本銀行は長期金利の変動幅の明記や新たな付利制度創設などの“政策見直し”を発表したが、将来の機動的な金融緩和の余地を残すなど、緩和の長期戦を意識したものになっている。
2021.2.24
「量的緩和」策の金融政策としての評価は分かれるが、この20年でわかったのは、「解除」には相当な時間がかかりその間に次の危機が来て緩和が長期化する上、政策自体に資産価格を押し上げ危機を生む要素を内包することだ。
2020.12.30
2021年の金融政策は景気回復をメインシナリオにしたものになるが、市場が正常化を過度に先読みしたり、逆に緩和が長引くと深読みしたりする恐れがある。無用の混乱を避け政策効果を生むには「市場との対話」が重要だ。
2020.11.20
バイデン新政権の最優先の経済政策課題はコロナ禍からの景気回復だが、大規模経済対策の財源として選挙公約に掲げた増税は難しそうだ。FRBの国債買い入れに頼ることになれば新たなリスクを抱える。
2020.11.4
日本銀行が実証実験を始める中央銀行デジタル通貨が現実になれば、円は国際通貨圏の一部に組み込まれることもあり得る。仮にそうなっても、政府債務の実質負担を増やさないために財政規律を維持することが重要だ。
2020.9.9
先進国はコロナ後もかなりの期間は政策金利がゼロまたはマイナス金利が続く見通しだ。高インフレの懸念はなさそうだが、経済成長力の低下や金融市場の不安定化のリスクを共有することが重要だ。
2020.7.15
中国株価の上昇はコロナ禍からの中国経済の回復を反映したものだが、中国政府にとっても海外投資家からの外貨で国内金融システムを安定させることができ、また米中摩擦で米国に対抗措置がとれる政策的意味合いを持つ。
2020.5.27
日本銀行が追加で打ち出した企業金融支援策は、コロナショックで売り上げが落ちた中小企業や個人事業主への無利子融資を後押しするためだが、利ざや縮小にあえぐ小規模な地方銀行などの収益支援の狙いもある。
2020.5.20
コロナショックで日本銀行が打ち出した国債無制限買い入れは「財政ファイナンス」ではないが、大規模財政支出を中央銀行が支えることが常態化すれば、民間経済の活力を損ない最終的には国債や通貨の信認が低下するリスクがある。
2020.3.18
新型コロナウイルス問題では情報不足から政策当局への不信感が強いことが問題解決を遅らせているが、コミュニケーションが重要な点で金融危機時と共通点が多い。「次の危機」に備えて他山の石とすべきだ。
2020.3.17
“コロナショック”に対して16日までに日米欧の中央銀行が「金融緩和」措置を打ち出したが、市場の不安定が収まらないのは、政策目的の優先順位での足並みの乱れや景気回復支援で有効な手段が見えないことがある。
2020.1.22
FRBが金融政策の枠組み見直しの一環で進める経営者や消費者との対話集会で、超緩和政策について「雇用の最大化」では評価されたものの「物価の安定」では必ずしも満足が得られず、2つの政策目標で評価が分かれた。
2019.11.20
金融資産買い取りの再開以降、ECB内で続く意見対立は政策決定の枠組みをめぐる議論になり始めている。加盟国の経済状況は違うのに金融政策は統一という根源的な課題にラガルド新体制は早々に向き合うことになった。
2019.9.25
日米欧の中央銀行が相次いで政策決定の会合を開いたが、「先行きの政策運営」方針はそろって示さなかった。経済の先行きが読めないだけに金融政策の柔軟性確保を優先したが、こうしたやり方は一時的なものだろう。
2019.7.31
7月の理事会で再び金融緩和の方向にかじを切ることを決めた欧州中央銀行(ECB)は、課題の多いマイナス金利の深掘りより工夫を凝らした量的緩和の活用を模索すべきだ。
2019.6.5
次の景気後退に打つ手が限られる日本銀行だが、長期資金を金融機関に貸し付ける「タームオペ」は活用の余地がある。長期国債購入による資金供給より柔軟性がある点で「持久戦」にふさわしい手段だ。
2019.4.10
利下げや量的緩和再開など、トランプ大統領の“金融緩和圧力”が強まるが、FRBが金融政策の独立性を維持する方法はある。リーマンショックなどを機に膨らんだ金融政策への過度な期待を元に戻す、もう1つの「正常化」を進めることだ。
2019.2.13
3月の「休戦」期限を前に米中協議は、貿易不均衡問題では前進の兆しがあるが、習近平国家主席肝いりの「中国製造2025」に対する溝は埋まらないとみられている。戦略的産業政策は悪いことなのか、この問題が米中摩擦の行方を左右する。
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