FRB4年半ぶり利下げ開始
2年半ぶり引締めから緩和へ

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月17日~18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利(FFレート)の誘導レンジを、従来の5.25~5.50%から4.75~5.00%へと0.5%ポイント引き下げることを決めた。

 コロナ禍からの経済回復やロシアのウクライナ侵攻などを機にした資源価格高騰などによる高インフレに対して強力な金融引き締めを続けてきたFRBの利下げは約4年半ぶりだ。

 会見したパウエル議長は、米経済は底堅いとしながら、インフレ率は鈍化しているものの雇用増加ペースの減速や失業率小幅上昇などを政策変更の要因としてあげた。利下げ幅は、通常の下げ幅の0.25%の倍となり、雇用情勢の軟化を重視した形だ。

 加えて、今回公表された見通しによれば、2026年にかけて、個人消費支出(PCE)インフレ率や失業率は、FRBが掲げる政策目標を満たすことが想定されている。

 従って、政策金利を、引締めでも緩和でもない中立金利の水準にもどすことが、今後の基本シナリオになる。

 22年3月の利上げ開始から2年半ぶりに「引き締め」から「緩和」への政策転換となったが、とはいえ今後、FRBが緩和ペースを加速させるかとなると、不透明な要因が多い。